東日本大震災の発生から、きょうで8年となる。

 巨大な津波に襲われ、何もかも押し流された太平洋沿岸の多くは、区画整理やインフラ整備が進み、震災の爪痕は見えにくくなっている。

 農地がほぼ復旧し、漁港の水揚げ機能も回復しつつある。災害公営住宅は未曽有の被害が出た岩手、宮城、福島の3県とも計画戸数の95%以上が完成した。

 しかし、内実は、復興とは程遠い。中でも、沿岸部の基幹産業は厳しい状況だ。

 東北経済産業局が昨年10月公表した、青森を含む東北4県の被災事業者を対象にした調査結果によると、水産・食品加工業や旅館・ホテル業、卸小売・サービス業で、売り上げが震災前の水準まで回復しているのは30%台にとどまった。

 原材料の高騰や風評被害、震災で失った販路が回復していないことなどが要因だという。工場や建物を再建したものの、事業が軌道に乗らなければ元も子もない。地域経済は衰退しかねない。

 国や自治体は、事業者が先行きに希望が持てるような取り組みや支援に力を入れる必要がある。

 生活再建にまだ踏み出せずにいる被災者への対応も急ぎたい。岩手、宮城、福島の3県の17市町村で来月以降も597世帯、1300人がプレハブの仮設住宅にとどまらざるを得ないことが、共同通信による自治体アンケートなどで明らかになった。

 宅地造成の遅れや災害公営住宅の完成待ちといった人が多い。だが、中には生活の困窮で退去できないといった理由もあるという。

 仮設暮らしの長期化によるストレスなどで、被災者の心身は疲弊している。入居者ゼロに向けたきめ細かい取り組みを続けてもらいたい。

 災害公営住宅の入居者同士のつながりをどう強めていくかも課題だ。住人は高齢者の1人暮らしが多く、引きこもりがちだという。

 避難所から仮設へ、さらに仮設から住まいが変われば、これまでの交流が途絶えてしまう。孤独死を防ぐためにもコミュニティーをどう維持していくかが問われている。

 政府は2020年度末で廃止する復興庁の後継組織設置を明記した復興基本方針見直しを決定した。津波被災地で心のケアなどソフト事業を21年度以降も続け、東京電力福島第1原発事故の対応は中長期的に国が責任を持つとしたのは当然だろう。

 真の復興を遂げるまで、取り組むべき課題は多い。地域の実情を見極め、被災者にどこまでも寄り添っていく体制をつくってほしい。

 歳月を重ねれば、震災の記憶は薄れていってしまう。しかし、風化が進めば、防災意識も低下しよう。震災の教訓を防災対策に生かし、後世に伝えていくためにも、機会あるごとに足を運びたい。被災地と関わり続けていくことが重要である。