政府は、東京への一極集中や人口減少を踏まえた地方対策として「まち・ひと・しごと創生基本方針」を閣議決定した。

 基本方針は、東京圏の高齢者の地方移住や、官民による観光振興組織の設置などが柱で、地方に人材と資金を呼び込む「ローカル・アベノミクス」を掲げている。

 地方創生は安倍政権の最重要課題にもかかわらず、方針の内容は各省庁の施策を束ねただけのように映る。これで、疲弊している地方の浮上につながるのか疑わしい。

 地方への人の流れをつくる政策として、「日本版CCRC構想」を打ち出した。高齢者が健康なうちに地方に移り住み、医療や介護が必要になれば、継続的なケアが受けられる仕組みである。

 だが、中央官庁が地方の実情をくんだ努力は見えてこない。高齢者を受け入れる側の自治体が、医療・介護の財源や人材をどう確保するかという基本的な問題にも触れていない。骨太の方針では、医療費抑制を前提に、地方の病床数削減を進める考えを示したばかりだ。方向性がちぐはぐではないか。

 地方経済の低迷の背景には、東京圏への若者流出による人材不足や生産性の低さがあると指摘した。その上で、2020年までに地方で30万人分の若者雇用を創出するとの目標を掲げた。来年度から事業を本格化させる。

 そのために注目したいのが、本社機能を地方へ移転した企業の法人税を軽減する改正地域再生法である。

 今国会で成立したが、施策をどう活用するかは、企業の取り組みにかかっている。

 企業経営者からは「情報通信技術(ICT)が発達しても、東京と地方では経営に必要な情報の格差がある」との声も聞かれる。

 政府は、この制度の拡充や情報格差を埋める具体策の検討に力を入れなければならない。企業に本社移転を促すのは容易ではない。まず、政府機関が地方移転して、先例を開くことも重要だ。

 地方の観光地に、外国人旅行客を導く方策も具体化を急ぎたい。

 訪日客は順調に増加を続け、14年には1341万人を数えた。だが、訪問先は東京や大阪、京都などが中心だ。方針では、訪日客を地方に呼び込むため、自治体と企業などでつくる官民連携の推進組織を5年間で全国に最大90カ所設置するとした。

 地方の自然や伝統文化などは貴重な財産である。最近では、国交省が認定した「広域観光周遊ルート」7地域のうち、「スピリチュアルな島~四国遍路~」(四国4県)と「せとうち・海の道」(瀬戸内7県)に徳島県が含まれている。

 このルートへの訪日客の増加に向けて、推進組織が果たす役割にも期待したい。

 地方の活性化に向け、国と自治体などが一体となって取り組まなければならない。