歴代3社長の辞任は当然だろう。不適切な会計処理が発覚した東芝の利益水増し問題である。

 調査を進めてきた第三者委員会は「経営トップの関与に基づき、多くの事業部門で、同時並行的かつ組織的に実行された」とする報告書をまとめた。

 決算書類は投資家が株式や社債を売買する際の判断材料となり、利益を多く見せかける虚偽の決算発表が横行すれば、資本市場は成り立たなくなる。不正操作は断じて許されない。

 売上高が6兆5千億円に上る東芝は、過去に経団連会長を2人輩出した日本を代表する巨大企業である。今回の問題は日本企業への信頼を損ねただけでなく、企業統治はどうあるべきか、重い課題を投げ掛けたといえよう。

 信頼を取り戻すには、うみを出し切り、自浄作用が働く組織に変わる必要がある。経営陣を刷新し、再発防止に全力で取り組んでもらいたい。

 報告書によると、東芝は2009年3月期から14年4~12月期で、計1518億円の利益を水増しした。不適切な会計処理は、最初に発覚したインフラ関連に加え、テレビやパソコン、半導体と、ほぼ全ての主要事業で行われていたという。

 経営トップの関与では、09年当時の社長だった西田厚聡相談役が「チャレンジ」と称して営業利益の上積みを部下に強く求め、次の社長の佐々木則夫副会長も同様のかさ上げを要求、田中久雄社長も容認したとした。

 さらに、各事業部門の責任者に経営トップが目標達成のプレッシャーをかけ、不適切な処理を行わざるを得ない状況に追い込んだと指摘。社内には「上司の意向に逆らうことができないという企業風土が存在する」とした。

 リーマン・ショックや東京電力福島第1原発事故による経営環境の悪化が背景にあるとはいえ、行き過ぎた利益至上主義にあきれるばかりだ。

 驚くのは、東芝が経営の透明性を高める「委員会等設置会社」にいち早く移行し、企業統治の強化に熱心な「優等生」とされてきたことだ。しかし、内容が伴っていなかったのが実態のようだ。

 取締役や執行役の職務執行が適正かどうかを確認する東芝の「監査委員会」は、委員5人のうち3人が社外取締役だが、会計や法律の専門家はおらず、不適切な処理を見抜けなかった。委員長も身内の元副社長が務めている。

 東芝は社外取締役の拡充を検討しているが、大事なのは形ではなく、監査の実効性を上げることだ。

 それと同時に、法令順守の徹底と、風通しのいい企業風土に改める必要があるのは言うまでもない。

 田中社長は「当社140年の歴史の中で最大ともいえるブランドイメージの毀損(きそん)」と述べた。再生に向け、新たな経営陣は不退転の決意で臨んでもらいたい。