参院の「1票の格差」是正に向けた公選法改正案が、参院本会議で可決された。28日にも衆院本会議で成立する。
 
 改正案は「徳島・高知」「鳥取・島根」の4県・2合区を柱に、選挙区定数を「10増10減」するものだ。成立すれば来年夏の参院選から導入される。
 
 地方の声が届きにくくなる合区が行われることに、強い憤りを覚える。
 
 合区は小手先の数合わせであり、参院が目指してきた選挙制度の抜本改革には程遠いものだ。次期参院選だけの暫定的な措置と位置付け、地方の声がきちんと反映される改革をやり遂げるよう強く求めたい。
 
 これまでも指摘してきたように、合区は問題が多過ぎる。隣同士とはいえ、本県と高知県は文化や歴史、産業構造が違い、地域のニーズも異なっている。鳥取、島根両県も同様だろう。
 
 改選数が2県で1になるため、どちらかの県からは議員が選出されなくなる。参院議員が一人もいない県も出てこよう。
 
 しかも改正案では、2010年国勢調査に基づく1票の最大格差は2・97倍にしか縮まらない。今年1月1日現在の住民基本台帳の人口だと3・02倍となる。
 
 最高裁は4・77倍だった13年参院選を「違憲状態」と断じている。「違憲」や「違憲・無効」としなかったのは、参院が抜本改革をすると約束していたからだ。その結果がこれでは、次は厳しい判断が下される恐れがある。
 
 問題は徳島など4県だけにとどまらない。地方の人口減少を考えると、今後次々と合区せざるを得ず、地方の議員が減って都市部はますます増えることになりかねない。
 
 1票の価値の平等は大事だが、そんな地方軽視が許されていいはずがない。
 
 では、どうすればいいのか。地方と都市部の人口の差が広がる中、都道府県単位を変えずに1票の格差を是正するには、総定数を増やすしかない。
 
 ただ、それは「身を切る改革」に反し、国民の理解は得られにくい。しかし、合区して地方の声が届きにくくなるぐらいなら、定数増も選択肢に入れるべきではないか。
 
 最高裁が求めるように、都道府県単位の選挙区を改めるなら、全国を10前後のブロックに分けて、比例代表制や大選挙区制にする方法もある。以前、公明党や旧みんなの党などが挙げていた案だ。
 
 これだと2県の合区に比べて面積は広くなるが、改選数は増える。人口の少ない県が不利になる度合いも、合区より小さいといえよう。
 
 改正案は、次々回の19年参院選に向け「抜本見直しで結論を得る」と明記している。
 
 参院は衆院のカーボンコピーであってはいけない。二院制の中でどうあるべきなのかを含めて、各党は党利党略を捨て、抜本改革へ議論を進めなければならない。