静岡県西伊豆町で家族連れら7人が電気柵に感電し、2人が死亡した事故が波紋を広げている。

 野生動物から畑などを守る電気柵は、農作物の食害が深刻化する中、全国的に普及している。

 徳島県内では、国や自治体の補助金を受けて設置した分だけでも、昨年度末時点で総延長627・2キロに上る。事故を機に、県や市町村は設置状況の確認を始めた。悲劇が二度と起こらないよう、安全対策に万全を期さなければならない。

 西伊豆の事故は、親類宅で川遊びをしていた親子が、岸に設置されていた電気柵に触れて感電し、悲鳴を聞いて助けようとした人たちも川に入って次々と感電した。柵の一部が壊れて川に漬かっており、そこから漏電したとみられている。

 一般に電気柵は、ホームセンターなどでセットを3万円程度で購入でき、手軽に設置することが可能だ。漏電遮断器のほか、一定の間隔で瞬間的に電気を流すパルス発生装置が付いており、触れてもショックを感じるだけで、死亡する危険性は低いとされる。

 しかし、事故を起こした電気柵は、親類の男性がいろいろな部品を組み合わせて手作りしたものだった。男性は、アジサイの花壇をシカから守る目的で、100ボルトの家庭用コンセントを電源に、440ボルトまで電圧を上げられる変圧器を接続していた。

 電気事業法は、「感電注意」などの看板を設置することや、人が容易に立ち入れる場所で30ボルト以上の電源から電気を引く場合は、人身事故や漏電を防ぐ装置の設置を義務付けている。

 だが、男性はいずれの措置も取っていなかった。事故現場は生い茂った草で柵が隠れていた所もあり、極めて危険な状態だったわけだ。

 今回は特異な例といえるが、感電死事故は2009年に兵庫県南あわじ市でも起きている。やはり市販品ではなく、高圧の電流を使ったものだった。

 電気柵は、農作物を守る目的で設置する場合は、国や自治体から補助金が受けられる。その場合、行政が設置状況を把握でき、安全指導も行える。

 問題は、今回のように、補助金を利用せずに独自に設置したケースは把握が難しいことだ。

 行政がきちんと対応できるよう、高圧電流を使っている場合など一定の条件を定めて、自治体への届け出を義務付けることも必要だろう。

 徳島県は電気柵に関する検討会を開き、設置箇所数の把握や安全確認を行うよう市町村に求めた。

 電気柵は山間部だけではなく、平野部の通学路沿いなど身近な所にも設けられている。十分に点検するとともに、夏休み中の子どもたちが事故に遭わないよう、しっかりと注意を呼び掛けてもらいたい。