東京電力福島第1原発事故から8年が過ぎた。復興を思うように進められない厳しい状況を突きつけた「安全神話」の崩壊を、決して忘れてはならない。

 福島県では今も約4万2千人が避難生活を続けている。東日本大震災全体の避難者約5万2千人の8割に上る。

 除染作業が進むなどして、原発周辺の避難指示は徐々に解除されているところだ。それでも、第1原発が立地する双葉、大熊両町の全域や5市町村の一部は、住民が戻りたくても戻れない状況が続いている。

 浪江町や飯舘村など9市町村では避難指示が解除されているが、気になる実態が判明した。住民票がある人のうち実際に居住しているのが23%にとどまっているというのである。

 8年の間に避難先で住まいを構えるなど生活基盤を固めている人が多く、スーパーや病院といった暮らしの環境が整っていないとの心配もあるようだ。

 最大の懸案の廃炉作業は、政府が示した工程表によると30~40年かかるとされる。

 2号機では先月、格納容器底部に溶け落ちた核燃料(デブリ)とみられる堆積物を確認し、一部を動かせることが分かった。来年度をめどにロボット装置を使ってサンプルを採取し、成分分析などを進める計画だ。

 ただ、デブリの量は1、3号機も合わせると約880トンに上るとされる。取り出した後に保管する場所も決まっていない。実現するための技術開発などが急務だ。

 建屋内に取り残された使用済み核燃料を搬出する作業も、遠隔操作で動かす装置が故障するなどトラブルが続いている。

 政府と東電は、廃炉に向けた工程を検証し直すことも必要だろう。

 汚染水の処分も、早急な解決が求められている。

 1~3号機ではデブリを水で冷却しなくてはならず、冷却後の汚染水が日々発生している。汚染水は浄化処理をしているが、放射性物質のトリチウムを除去できないため、原発敷地内の貯蔵タンクで保管している。

 貯蔵量は既に約100万トンに上り、許容量の95%に達している。東電はタンクの増設を検討しているものの、3、4年で満杯になるとみられ、行き詰まる恐れがある。

 政府と東電は海洋放出したい方針だが、昨夏に開いた地元住民らの公聴会の直前、トリチウム以外に基準以上の放射性物質も残留していることが発覚した。

 公聴会では「議論の前提が崩れた」などの批判が噴出。漁業関係者らを中心に海洋放出への理解が得られず、暗礁に乗り上げたままだ。

 地元住民の不信感を払拭しなければ、解決策を見いだすのは難しい。

 政府と東電は、住民への適正な情報開示と説明に努めなければならない。