観光庁は外国人旅行者向けの広域観光ルートとして、全国7地域を初めて認定した。複数の観光地をテーマ性やストーリー性でひとくくりにして売り出そうという狙いだ。
 
 徳島県は、遍路の歴史・史跡をアピールする四国ルートと、東京、富士山、京都、大阪を巡る「ゴールデンルート」の延長線上に観光動線を形成する瀬戸内ルートの2ルートに含まれた。
 
 複数の県にまたがる広域観光圏を形成することで、外国人に地方の魅力をPRする取り組みを歓迎する。
 
 徳島は四国霊場八十八カ所の起点で、世界遺産登録に向けた機運も高まりつつある。外国人遍路も多いことから、認定を観光活性化の弾みにしたい。
 
 広域観光ルートは、外国人旅行者が地方空港を利用して6泊以上滞在することを想定した広い観光圏を指す。2020年までに訪日客を2千万人に増やす政府目標の達成に向け、東京や京都に偏っている訪問先を地方に拡大する狙いがある。
 
 このところ、日本を訪れる外国人観光客は急増している。今年上半期の外国人観光客は913万9900人に上り、過去最高だった前年同期の約1・5倍に増えた。年間では1800万人前後になる見通しだ。20年までに2千万人の政府目標は前倒しで実現できる可能性が高い。
 
 だが、滞在先は依然としてゴールデンルートに集中している。明石海峡大橋の開通後、徳島県は観光客の通過点になっているとの指摘がある。これらの悩みを解消しなければならない。
 
 外国人観光客が増えることは大きな経済効果を生む。今年4~6月に日本を訪れた外国人の消費額は推計8887億円で、四半期としては過去最高となった。円安に加え、昨年、免税対象が食料品や化粧品を含む全品目に拡大されたことなどが追い風となったとみられる。
 
 中国人による「爆買い」にみられるように、外国人観光客のショッピングへの関心は高い。しかし、訪日の目的はそれだけにとどまらない。
 
 観光庁がまとめた4~6月の訪日外国人消費動向調査によると、日本で最も期待していたことは「日本食を食べること」がトップで26%を占めた。2位は「自然・景観地観光」。「ショッピング」は3位だった。
 
 徳島は豊富な海の幸、山の幸などの食材に恵まれているほか、鳴門の渦潮や祖谷など誇れる景観もある。県西部4市町でつくる「にし阿波観光圏」への誘客効果にも期待できる。利用が伸び悩む徳島空港の活性化にもつなげたい。
 
 外国人に訪れてもらうためには安心して旅行できる環境整備も欠かせない。
 
 県は外国人向けパンフレットを充実させるほか、多言語に対応した観光案内表示を増やすなど、外国人の目線に立った受け入れ態勢を速やかに整える必要がある。