事件事故の被害者や家族を支援している民間の徳島被害者支援センター(徳島市福島1)が、県公安委員会から「犯罪被害者等早期援助団体」に指定された。

 これまで被害者は、県警に話した内容を繰り返しセンターの相談員に説明する必要があった。指定により、センターは被害者の同意を得て県警から直接、事件事故の概要を得られるため、被害者の精神的負担が軽減されると期待されている。

 犯罪被害者の支援は、関係機関が連携を密にして迅速・丁寧に対応することが何より重要だ。徳島県は全国で唯一、早期援助団体がなかった。センターは団体指定を機に、支援体制の充実・強化を急いでもらいたい。

 センターは2009年、行政や警察では対処しきれない被害者の要望にきめ細かく応じるために、県医師会や経済団体の代表者らが発起人となって設立された。

 被害者の精神的ケアや裁判所への付き添いなどを行っているが、認知度はまだ低く、利用件数も多くない。周知に全力を挙げる必要がある。

 犯罪被害者といっても、それぞれに必要な支援は異なる。対応する関係機関は多岐にわたり、県内では1999年、捜査機関や行政機関、民間組織が県犯罪被害者支援連絡協議会を発足させた。

 2005年には、国と自治体の「支援する責務」を定めた犯罪被害者基本法が施行され、被害者給付金の充実や捜査・公判に関する情報提供が実現した。

 加害者の権利が重視される一方で、被害者への保護や配慮が不十分だという声を反映した結果である。

 県内では現在、全ての自治体に被害者支援の相談窓口が設置されている。しかし、それらが十分に機能しているとは言い難い。関係機関とのネットワーク化など、支援体制の強化が求められる。

 その意味で、センターや連絡協議会の果たすべき役割は大きい。先月、県庁で開かれた連絡協議会の総会では、強制わいせつ事件を想定した被害者支援の連携を確認した。性犯罪被害者による講演もあり、参加者らは被害者心理について理解を深めた。

 こうした取り組みを積み重ね、実際の支援に役立てていくことが大切だ。

 犯罪被害者対策は近年、さまざまな試行錯誤が重ねられている。被害者や遺族が法廷で被告人に質問できる被害者参加制度ができたほか、被害者を匿名にした起訴状を作成するといった動きもある。

 性犯罪被害者の泣き寝入りをなくそうと、告訴なしで立件を可能にすることや厳罰化も検討されている。

 犯罪の撲滅を願い、実名を公表して講演する被害者や遺族も増えてきた。

 いつ、誰が凶悪犯罪に巻き込まれてもおかしくはない。被害者の声に耳を傾け、社会全体で犯罪をなくそうという意識を広げていきたい。