世界同時株安の様相が強まっている。

 東京株式市場の日経平均株価が大幅に下落し、中国上海株なども急落している。日経平均はきのうも続落し、株安基調は長期化する恐れが出てきた。

 主な要因は、世界の成長をけん引してきた中国経済の減速が、投資家の不安をかき立てていることだ。「中国ショック」がさらに深刻になれば、世界経済への影響は計り知れない。

 来月初旬には、日米欧に中国、インドなど新興国を加えたG20の財務相・中央銀行総裁会議がトルコで開かれる。日本をはじめ主要各国は連携を強め、不安の連鎖に歯止めをかけなければならない。

 中国経済は成長を続けているものの、不動産投資や工業生産などの経済指標の伸び率が鈍化している。今月の製造業の景況指数は6年半ぶりの低水準となり、景気減速が鮮明になった。

 そんな中、明確な説明をせずに人民元を切り下げたことが、投資家の間に「中国経済はそんなに悪いのか」との疑心暗鬼を生むことになった。

 経済政策が不透明なことが、国内外の株安に拍車を掛けている。世界第2位の経済大国である中国は、政策の透明性を高め、市場の信頼を得られる振る舞いをすべきだ。

 中国政府は、株価下支え策として年金基金の株式投資を解禁したが、効果は限定的だった。一段の金融緩和や景気対策が急がれる。

 世界市場の混乱は、米国が来月にも利上げに踏み切るとの観測が高まっていることも一因だ。利上げすれば投資マネーが米国に逆流し、新興国の経済を悪化させるからだ。

 米国の景気の足取りは強固で、事実上のゼロ金利から脱却する好機を迎えている。とはいえ、この状況での利上げは影響が大き過ぎる。ひとまず先延ばしし、時期を慎重に見極める必要がある。

 景気の踊り場に入った日本経済にとっても正念場だ。株価下落に加え、円高の進行と中国経済の減速は大きな痛手となる。

 輸入価格を押し下げる円高は消費拡大につながる一方、輸出企業の競争力を低下させる。中国経済が本格的に鈍化すれば、日本からの輸出や訪日観光客が減少しよう。

 与党内には、景気対策を含む補正予算を編成すべきだとの声もあるが、新たな対策や財源は限られている。どこまで機動的な対応が取れるのか、政府の手腕が問われるところだ。

 同時株安は、2008年のリーマン・ショック以来、中国の成長と主要国の金融緩和に依存してきた、世界経済の限界を示したといえる。

 異次元緩和で円安株高を演出してきた日本も同様だ。緩和マネーは市場にあふれたが、個人には十分に行き渡っていない。

 今回の事態を、実体経済の重要性を再認識し、堅実な成長を目指す契機としたい。