徳島県内で発生する交通死亡事故の減少傾向が顕著になっている。

 今年1~7月の事故による死者数は12人で、道交法が施行された1960年以降、最少ペースで推移している。死者が年間を通じて過去最少の31人だった昨年の同時期より6人少ない。

 死者が最も多かった71年は年間180人に上り、交通戦争ともいわれていた。減少傾向の背景には、交通違反の取り締まりや罰則の強化、医療や車の技術の進歩、啓発による県民の意識向上などさまざまな要因が考えられる。

 さらなる効果的な取り組みを県民一丸で推進し、死者ゼロを目指したい。

 7月までの死者数の内訳は二輪を含む車両乗車中8人、歩行中2人、自転車乗車中2人だった。速度超過や酒酔いなど無謀運転による事故の死者が、前年の6人からゼロになったのが大きな特徴だ。

 死亡事故だけでなく、人身事故全体の発生件数も減っている。1~7月は前年同期より323件少ない2246件で、89年以来の最少ペースとなっている。

 さらに事故を減らすには、啓発とともに、原因を詳しく知ることが重要だ。県警は今年、事故原因を分析する内部の体制を強化した。多角的な分析によって事故防止対策を効果的に進める狙いがあり、成果に期待したい。

 7月までの死者12人のうち、65歳以上の高齢者は6人と半数を占める。高齢者が関係する人身事故の割合は2007年に初めて全体の30%を超え、今年は7月末現在で約40%に上る。

 公共交通機関が充実していない県内では、高齢者にとって車が生活の足として欠かせない。高齢者の事故を防ぐ重要性は、これまで以上に増していくだろう。

 昨年、高齢者が起こした事故の原因で最も多かったのは、相手車両や歩行者を認識していながら危険性を軽視したことによる「動静不注視」だった。

 加齢とともに車や人の動きを予測する力が落ちていくことを、十分認識する必要がある。運転講習や安全教室などの機会があれば、積極的に参加してもらいたい。

 近年、厳罰化が進んだこともあり、県内では飲酒運転の検挙数が大幅に減っている。昨年は166件と1989年以降で最少を記録し、ピーク時の90年に比べると20分の1以下となった。

 それでも、飲酒運転による死亡事故が昨年は2件発生した。酒を飲んだ後に車中で数時間休み、酔いがさめたと勝手に判断して飲酒運転するケースも目立ち、認識の甘さが指摘されている。

 悲惨な事故の抑止に向け、県警は一層の啓発と指導・取り締まりに力を注ぐべきだ。

 ドライバーや歩行者ら誰もが、交通ルールとマナーを守るのはもちろん、譲り合いの気持ちで事故を一件でも減らしていきたい。