2016年度予算の概算要求が締め切られ、一般会計の要求総額は102兆4千億円程度と、3年続けて過去最大を更新した。

 景気動向に応じて柔軟に予算編成するため、3年連続で歳出総額の上限を設けなかった。そのためか、各省庁の歳出削減の動きは鈍いようだ。

 国と地方の基礎的財政収支を20年度に黒字化する財政健全化計画の初年度なのに、行く末が危ぶまれる。

 財務省は15年度と同様に5兆円規模の圧縮を目指しているが、与党は来夏の参院選をにらんで増額の圧力を強めそうだ。財政規律を優先し、不要不急の事業、施策は厳しく査定してもらいたい。

 求めたいのは、メリハリのある予算編成である。アベノミクスの効果が十分に波及せず、財政が窮迫する地方を活性化させる施策などに、手厚く予算を配分すべきだ。

 公共事業費など政策経費は76兆3千億円程度に増えた。

 省庁別では、高齢化で社会保障費が増大した厚生労働省が30兆6675億円で最も大きい。「骨太方針」では、社会保障費を含む歳出の抑制を打ち出したが、高齢者ら弱者には十分な配慮が必要だ。

 防衛省は米軍再編関連経費を含めて、過去最大の5兆911億円を要求した。中国の海洋進出を受けて離島防衛に重点を置き、オスプレイを購入するなど装備を充実させる。15年度当初より2・2%の伸びで、いずれ歯止めをかける議論が必要になろう。

 安倍政権が力を入れる分野に重点配分する特別枠への要求は、上限の約3兆9千億円近くまで積み上がった。

 注目の地方創生関連では、内閣府などが、人口減少対策に取り組む自治体に1080億円を配分する新型交付金や、地方創生を担う人材育成事業を要望した。

 文部科学省は、地域の大学が地元企業と協力して新産業を生み出す取り組みを支援する。ヒト・モノなどあらゆる地域資源をフルに活用、支援する試みを充実させたい。

 四国地方整備局の概算要求では、南海トラフ巨大地震対策などが盛り込まれた。鳴門市では撫養港海岸の地震津波対策工事を完了させる。

 台風などの浸水被害が深刻な阿南市加茂谷地区では19年度の完成に向け、那賀川と支流の加茂谷川の無堤地区で堤防の建設を進める。

 いずれも、地域住民の生命と財産を守るために、欠かせない事業だ。十分な予算を確保したい。

 懸念されるのは、国の借金に当たる国債費の増加だ。国債残高の増加で利払い費が増えたことで、過去最大の26兆543億円に膨らんだ。

 孫子の代にこれ以上の借金を残すわけにはいかない。

 査定では、費用対効果の観点から事業を取捨選択するのは当然だが、地域の実情をくむ努力が大切だ。大規模災害で、再び大勢の命が失われることのないよう、ライフラインの整備を急いでほしい。