女性の登用を大企業や国、地方自治体に促す「女性の活躍推進法」が成立した。

 人口減少時代に突入した日本が経済成長を続けるため、女性に力を発揮してもらうことが狙いだ。

 政府は「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との目標を掲げている。法律ができたことは、社会に根付く男性優位の風土を変えていく上で、一歩前進といえよう。

 女性が働きやすい環境の整備に向けて、政府は本腰を入れなければならない。

 推進法は、企業が把握すべき項目として、男女による労働時間や勤続年数の差、管理職に占める女性の割合などを挙げ、数値目標の設定と公表を義務付けた。

 25年度までの時限立法で、優れた取り組みをする企業を事業入札で優遇するといった仕組みも盛り込んだ。

 女性の活躍状況の公表義務化は、外部から取り組みが見えるため、同業他社を意識して競争を生む。その切磋琢磨(せっさたくま)を通じて、女性が働く環境の改善が進むと期待される。

 だが、推進法の実効性には問題点が少なくない。

 一つは、企業が求められる数値目標が、任意の1項目だけでいいことだ。それぞれの項目で、どこまで改善が必要かといった最低基準を示しておらず、達成しやすい項目で済ませる企業が出ると懸念される。

 しかも、適用されるのは、従業員301人以上の企業に限定している。日本の企業の大部分を占める中小企業は、事務負担が大きいとして、努力義務にとどめた。これでは、どれだけの中小企業が目標を設定するか見通せない。

 把握すべきとした項目に、賃金格差が入っていないことも問題だ。

 女性の平均賃金は男性の7割にとどまる。結婚や出産でいったん退職せざるを得ないことが要因とされる。政府は「賃金格差はさまざまな要素が絡むため」と除外した理由を説明するが、苦しい言い訳である。

 推進法は、働く女性の6割を占める非正規労働者への対応も示していない。労働問題の専門家から「恩恵を受けるのは、大企業で働く一部の女性に限られるのではないか」という声が上がるのは当然だろう。

 女性の正社員と非正規労働者の間で、新たな格差を生むようなことがあってはならない。非正規から正社員への転換を促す方策が求められる。

 働きたくても働けない女性は、300万人以上いるといわれている。男性の長時間労働が横行し、育児や家事に関わる時間も少ないという実態が、結婚や出産を経験した女性が働き続けることを難しくしている。

 女性に活躍してもらうためには、男性が働き方や意識を変える必要がある。社会全体で、仕事と子育ての両立が可能な仕組みの構築を進めていきたい。