徳島県議会の9月定例会が開会し、飯泉嘉門知事が所信を述べた。

 今議会は、地方創生の推進が大きなテーマである。県は「とくしま回帰」とした移住・交流人口の増加策に、9月補正予算案88億円余のうち9900万円を計上し、新たな事業を盛り込んた。

 人口減少が進む徳島の未来を切り開く取り組みであり、活発な議論を期待する。

 中でも目を引くのは、首都圏に住む県出身の高齢者らに移住を呼び掛ける徳島型CCRC(継続的なケア付き退職者コミュニティー)の構築である。

 政府が来年度、モデル事業を始める日本版CCRC構想に対応したもので、高齢者の就労や医療・介護関連の雇用確保といった効果が期待できる。受け入れ拠点の整備に乗り出す自治体や企業などには、新型交付金での財政支援が検討されている。

 徳島型CCRCの受け入れ態勢をどう整えるのか、どんな特長を打ち出していくのかなど、具体的な戦略を議論する必要がある。

 本県への移住の相談を受け付ける拠点を、東京と大阪に設けるのは効果的だろう。地方に関心を持つ若者らは増えている。県内各地の魅力を最大限に発信し、「移住するなら徳島」の機運をつくり出してほしい。

 県は、徳島の強みである農林水産物の販路開拓の支援にも力を入れる。ユズや、なると金時を欧州へ本格的に輸出するための高鮮度・低コストでの輸送方法の検証や、花卉輸出の有望国で市場調査などを行う。徳島ブランドの海外展開へ、県議会は建設的な提言をしてもらいたい。

 先日、東日本を襲った台風18号の影響による豪雨は、茨城県の鬼怒川の堤防を決壊させ、広範囲な浸水被害をもたらした。被害が拡大した要因として、地元自治体の状況把握や避難指示の遅れ、県との連携の悪さなどが指摘されている。

 徳島県内にも、強度や高さの不足で決壊する恐れがある堤防が約17キロにわたって残っている。管理する国や県は、危険な区間の築堤や改修を急いでもらいたい。

 鬼怒川堤防の決壊を教訓に、災害対策や備えを強化することが大切である。

 吉野川上流の早明浦ダムをめぐる治水・利水対策の議論も重要だ。他県で利水ルールが守られていないことや、ダム機能強化のための工事負担金などが焦点となっている。県益を守りながら、協力体制を築きたい。

 政治とカネの問題では、県議会の自浄能力が厳しく問われる。政務活動費の受給をめぐり、県議が地元郵便局に発行を依頼した領収書が「不適切」との指摘を受けている。

 政務調査・活動費の不正受給では昨年、県議2人が辞職しており、繰り返し浮上する問題に批判や不信感が高まっている。県民が納得する制度改革を求める。