徳島県南部が局地的豪雨に見舞われ、海陽町の鞆浦地区などで、多くの家屋が床上・床下浸水する被害が出た。

 高齢者だけの世帯が多い地域であり、一日も早く元の生活ができるよう、行政は住民の要望を聞きながら復旧を急いでもらいたい。

 県南では、四国の南海上に停滞していた秋雨前線に、暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、23日夜から断続的に激しい雨が降った。

 海陽町奥浦に県が設置している雨量計では、24日午後6時半までの1時間に108ミリの雨が記録された。レーダー解析によると、同町では25日午前3時までの24時間で約700ミリの豪雨となった。

 時間雨量は50ミリ以上で滝のように降り、80ミリを超えると、息苦しいほどの圧迫感や恐怖を感じるとされる。

 住民も「あっという間に水が家に押し寄せてきた」「恐ろしいほどの水量だった」と豪雨のすさまじさを語っている。人的被害が出てもおかしくなかった。

 それでも鞆浦地区では雨が小降りになると、水は1時間ほどで引いたという証言もある。短時間に局地的に降った猛烈な雨が、大きな被害をもたらしたといえる。

 こうした局地的豪雨は近年、増加傾向にある。全国で1時間に50ミリ以上の雨量を観測した回数は、1980年代に年平均171回だったが、徐々に増え、2010年代は248回となっている。

 地球温暖化の影響が指摘されているが、はっきりした原因は分かっていない。

 大気の状態が不安定になる梅雨から秋にかけて発生しやすく、積乱雲が急激に発達することによって、同じ場所で数時間にわたって続くこともある。今年もまだまだ気が抜けない。

 気象予報の精度は向上しているものの、時間的余裕を持って、発生場所を狭い範囲まで特定するのは難しい。

 しかし、予兆がないわけではない。「真っ黒い雲が近づき辺りが暗くなる」「雷の音や稲光がする」「冷たい風が吹きだす」「大粒の雨やひょうが降る」などである。

 身を守るには、危険を感じたら安全な場所に逃げることが最優先される。気象予報や自治体の情報を参考にするとともに、日ごろから天候の急変に対する心構えと万全の備えをしておく必要がある。

 今回、海陽町に避難勧告、牟岐、美波両町に避難準備情報が出され、一部住民は避難した。気付いたときには道路が水に漬かり、家から出られなかった住民もいたようだ。

 一気に浸水が深くなったら、自宅の2階へ逃げる「垂直避難」が有効なケースもある。1人暮らしの高齢者が近所にいれば、早めに声を掛ける「共助」も心掛けたい。

 豪雨による被害は、低地や川の近くで大きくなりやすい。土砂災害が発生しやすい場所かどうかなど、自分が住んでいる土地の特徴をよく知っておくことも大切だ。