米国のオバマ大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談が、ワシントンで行われた。

 南シナ海問題や中国発のサイバー攻撃などに、両首脳がどう対処するかに注目した。 残念ながら、大きな成果は見られなかったが、地球環境問題などで、わずかだが収穫があった。首脳会談の合意を着実に履行し、世界の安定と発展に生かしてもらいたい。

 会談でオバマ氏は、中国が進める南シナ海の岩礁埋め立てに関して、全ての国家の航行と飛行の自由を強調し「重大な懸念」を伝えた。

 これに対し、習氏は「中国固有の領土だ」と、埋め立てを正当化した。会談後の会見で習氏は「中国が着手している建設活動は、いかなる国も標的にしておらず、軍事化は意図していない」と述べた。

 だが、発言を額面通りには受け取れない。埋め立てや滑走路の建設が、領有権で対立する国ばかりか、周辺海域を航行する国々の大きな懸念材料になっているからだ。

 既成事実を積み重ねる中国のやり方は、国際社会の支持を得られるものではない。

 両首脳は、サイバー攻撃問題では一定の合意に達した。

 米中がサイバー攻撃による企業秘密の窃盗行為をしないことを確認し、閣僚級の対話メカニズムを創設することになった。

 年末までに第1回会合を開催するのは一歩前進である。

 地球温暖化問題でも、前進が見られた。習氏が、温暖化対策を進める発展途上国に対する200億元(3790億円)の金融支援を表明したことは、評価すべきだろう。

 両首脳は、11月からパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、共同歩調を取ることを確認。今世紀中に低炭素経済への移行を目指すことでも一致した。

 温室効果ガス排出量は、中国が世界1位で、米国が2位だ。両国は排出削減にしっかりと責任を負うべきである。

 今後、日本の積極的な取り組みも求められよう。

 8月に世界経済を大きく揺さぶった人民元問題もテーマとなった。オバマ氏は会見で「習氏から人民元の(再度の)切り下げは避けるとの話があった」と明かした。中国が世界経済への配慮を示したのは歓迎したい。

 米国民が厳しい視線を向けている中国の人権問題について、オバマ氏がジャーナリストや弁護士の活動の自由を妨害するのは問題だと指摘したのは、当然だろう。

 習氏は中国独自の「歴史や現実」に理解を求めたが、人権抑圧に対し、国際社会から非難の声が上がっていることに、もっと留意すべきだ。

 習氏の訪米に合わせて、中国企業は米国企業との間で大量の旅客機購入契約を結び、経済大国ぶりを誇示した。

 米国は経済関係を重視しながらも、中国に対する警戒を強めているようだ。

 中国は大国として、緊張緩和に努めなければならない。