安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領との日ロ首脳会談が、米ニューヨークの国連本部で行われた。

 懸案の北方領土問題については、双方が受け入れ可能な解決策を作成するため、首脳間の対話を継続することで一致した。

 領土をめぐる交渉は昨年1月を最後に中断しており、トップ同士が再開を確認したことは意義があるといえる。

 ただ、実態は、2013年4月に発表した日ロ共同声明の内容を再確認したにとどまり、スタートラインに戻っただけである。

 会談では、双方の思惑の違いも浮き彫りになり、領土問題が進展するかどうかは見通せない。日本は事態の打開に向け、粘り強く交渉を続けていかなければならない。

 13年の共同声明は、日ロ間に平和条約が締結されていない状態は異常だとし、「双方に受け入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させる」とうたったものだ。

 その際、プーチン氏は記者会見で「私たちが問題を解決する」と約束した。しかし、領土問題が大きく前進することはなかった。

 停滞した原因は、昨年3月にロシアがウクライナのクリミア半島を一方的に編入したことにある。これに対して米欧が経済制裁に踏み切り、日本を含む先進7カ国(G7)との対立が先鋭化した。

 ロシアは編入の正当性を主張しているが、力による現状変更が認められないのは当然である。自らの強引な行動と日本との2国間交渉とを絡めることは許されない。

 メドベージェフ首相が択捉島を訪問するなど、要人が相次いで北方四島を訪ねたことも、解決策をつくるとした声明に反するものだ。択捉島で軍民共用の空港を完成させるなど、四島の実効支配を強めているのも看過できない。

 今回の会談で、プーチン氏は日本との経済協力の話題に力点を置き、「領土問題」という表現は最後まで使わなかった。

 経済制裁や石油価格の下落で国内経済が悪化しているロシアには、領土問題で安易に譲歩できないとの事情がある。強硬姿勢は、その表れでもあろう。

 日本にとっても、極東開発への投資はエネルギー確保の面で利点がある。だが、領土問題の解決を脇に置いての経済協力は困難だ。

 両首脳は、今後も意見交換することを申し合わせ、来月には外務次官級協議も再開させるが、ロシアのペースにはまってはいけない。

 「年内実現」で合意しているプーチン氏の来日に関しては、「ベストなタイミング」で実現させるとし、具体的な時期には言及しなかった。日本側はあくまで年内を目指すとしているが、重要なのは時期ではなく、中身のある会談ができるかどうかである。

 ロシアの出方を慎重に見極め、戦略を練り直して臨む必要がある。