徳島県が、移住者の増加に向けた取り組みを本格化させている。

 首都圏などからの移住希望者の相談に応じる総合窓口「とくしま移住交流促進センター」を8月、徳島駅クレメントプラザ内に開設した。

 総合案内役の「とくしま移住コンシェルジュ」が常駐して応対するとともに、同じフロアにあるハローワークとも連携。仕事や住居、生活などあらゆる相談にワンストップで応じるのが特長だ。ホームページや会員制交流サイト(SNS)を通した地域情報発信にも取り組む。

 県の人口減少に歯止めがかからない中、世代を問わず、移住人口をいかに増やすかは地方創生実現の鍵を握る。センターが移住希望者のさまざまな不安を解消し、徳島移住を促すきっかけになることを期待したい。

 県は転勤や県内間の移住を除く移住者数を、2013年度の80人から19年度に850人まで増やす目標を掲げている。中でも、移住への関心が特に高いとみられる高齢者を対象に、受け皿となる徳島型CCRC(継続的なケア付き退職者コミュニティー)の構築を目指す方針だ。

 CCRCは、定年者らに元気なうちに移住してもらい、地域での仕事や生涯学習への参加を通して、健康で活動的な生活を送ってもらおうというものだ。新たな雇用の創出や、地域との交流による活性化の効果が期待される。実現に向け、構想の具体化を急ぎたい。

 県は東京徳島県人会でアンケートを実施した。回答者288人のうち「徳島に移住したい」と答えた人が39人(13・5%)、「期間限定なら」が30人(10・4%)、「現住所と両方に住みたい」が42人(14・6%)で、合わせて38・5%が前向きな考えを持っていた。

 課題は、この関心の高さをどう移住につなげるかだ。

 移住したいと考えても、徳島まで容易に足を運べない人は少なくない。対策として、県は東京と大阪にも相談センターを設け、仕事や住居などの問い合わせに応じる態勢を整える。

 16年度中に都内に設ける交流拠点「とくしまブランドギャラリー(仮称)」を「とくしま回帰」の拠点とし、情報発信機能を持たせることも検討している。

 都会の身近な場所で徳島の魅力を感じることで、移住への意識はより高まるだろう。都市部での情報発信をこれまで以上に積極的に進めるよう求めたい。

 県と企業が連携し、引っ越しや宿泊の料金割引など、移住者を支援する新たな制度も始める。県はこれまでに不動産業や運輸業など33社をサポート企業に認定しており、さらに増やす方針だ。

 移住を促進するためには、官民一体となった機運の盛り上げが欠かせない。受け入れ態勢の充実へさらに知恵を絞りたい。