白球を追う野球少年たちにどう説明すればよいのか。ショッキングな事件である。

 プロ野球巨人は、福田聡志投手が野球賭博に関与していたとして、野球協約に基づいて、熊崎勝彦コミッショナーに告発した。

 同僚の笠原将生投手から紹介された知人との間で夏の甲子園大会、巨人の試合を含むプロ野球、米大リーグの試合を対象に賭けをした疑いだ。

 プロ野球界は過去に苦い経験をしている。1969年に球界を揺るがせた「黒い霧事件」では、八百長行為で現役選手が永久追放処分を受けた。球界は不正排除に努め、選手教育に力を注いできたはずではなかったのか。

 巨人は両投手に謹慎処分を科し解雇もあるとしているが、国民の視線は厳しい。福田投手らにとどまる問題なのかどうか、球団、日本野球機構(NPB)は徹底的に事件を解明しなければならない。

 巨人によると、福田投手は8月初旬、税理士法人勤務という男性に誘われ、甲子園大会の複数試合で賭けをした。

 負けを取り返そうと9月初旬までプロ野球と大リーグの試合でそれぞれ約10試合の賭けをした。巨人の試合は3、4試合で、最終的に百数十万円の損をしたという。

 9月30日に、知人がジャイアンツ球場に、福田投手の借金の取り立てにきたことから事件が発覚した。

 今季、福田投手が1軍の登板がなく、八百長行為はなかったとして、巨人は、出場しない試合に賭けることを禁じた野球協約第180条に基づいて告発した。

 巨人は、原辰徳監督やコーチ陣、所属全選手と球団職員のヒアリングに着手した。誘われたことも含めた野球賭博の経験の有無や、賭博常習者と付き合っていないかなどが焦点となろう。

 阪神や、ソフトバンクなども、選手や首脳陣らへの聞き取り調査を始めた。襟を正す意味からも、全球団が厳正な調査を行うべきだ。

 事件の影響は、プロ野球のイメージダウンや、社会的信用の失墜にとどまらない。

 スポーツ振興くじ(サッカーくじ)の対象をプロ野球に広げる構想も後退した。

 さらに心配なのは、2020年東京五輪への影響だ。野球は、大会組織委員会が追加種目として国際オリンピック委員会(IOC)に提案し、北京大会以来の五輪復帰に大きく前進したばかりだ。

 馳浩文部科学相は「東京五輪にとって極めてマイナス、ダメージは世界的に見ても計り知れないほど大きい」と懸念を示した。賭博行為対策を強化しているIOCの目に今回の事件はどう映るだろう。

 熊崎コミッショナーは、NPBの調査委員会で▽共謀による試合の勝敗への関与の有無▽反社会的勢力や暴力団との付き合いの有無-などを徹底調査すると説明した。

 球界に巣くう病根を洗い出し、再発防止策を講じることが急務である。