自民、公明両党が参院議員の歳費を1人当たり月7万7千円減額する法案を参院に提出した。

 改正公選法による参院定数6(選挙区2、比例代表4)増に合わせ、議員の給料に当たる歳費などの総額を増やさないように、夏の参院選後に増える3人分を全参院議員で「負担」する内容である。

 昨年の公選法改正は露骨な党利党略だと、自民党への批判は根強い。参院選を控え、これをかわすためのパフォーマンスにほかならない。

 自民党は「国民に最も分かりやすく、簡素な方法だ」とする。しかし、削減は参院選後の3年間に限られ、議員会館の改修に約1億8千万円(3部屋分)が必要となる。

 日本維新の会はこれでは不十分だとし、衆参両院の議員歳費などの2割削減を盛り込んだ法案を参院に出した。年20億円超の予算を減らせるとしている。他の野党は定数増自体に反発しており、成立は見通せない情勢だ。こうした状況に陥ったのは、これまでの参院選挙制度改革が付け焼き刃にすぎないからである。

 2015年の公選法改正では、「1票の格差」を是正するため、「徳島・高知」「鳥取・島根」の合区を導入した。その際、改正法の付則に「制度の抜本的な見直し」を19年の参院選までに検討し、「必ず結論を得る」と明記。自民党は17年衆院選で合区解消を公約に掲げた。

 ところが、昨年の公選法改正では、合区を維持する一方、政党が優先的に当選させられる特定枠を比例代表に設けて定数を4増やした。合区であぶれた現職議員を救済するのが自民党の狙いで、今夏の参院選では、徳島選出の現職三木亨氏は特定枠で処遇される見通しだ。

 党利党略によって、選挙区に加え、拘束名簿式と非拘束名簿式の2制度が混在する比例代表で投票しなければならない有権者はたまらない。投票率の低下も懸念される。

 合区解消に向け、自民党は人口を絶対的な基準とせず、改選ごとに各都道府県から1人以上選出できるように憲法改正を目指している。全国知事会で憲法問題を担当する徳島県の飯泉嘉門知事も、都道府県単位の選出を義務付ける改憲を求めている。

 ただ、これには問題点が指摘されている。1票の格差を容認することになるほか、地域代表の性格が強くなれば、国会議員を「全国民の代表」とする憲法43条に矛盾する。

 それでは、1票の格差是正と合区解消を両立させるにはどうすればいいのか。

 憲法学者の長谷部恭男氏らは、人口の少ない県も参院議員を出せるように定数を増やし、その分、歳費を減らす方策を唱えている。

 これなら、憲法に手を付ける必要はない。今回の歳費削減法案のように、定数増加分を議員全体で賄おうという考えにも即している。議員に「身を切る覚悟」があれば、十分検討に値するはずだ。