北朝鮮の核・ミサイル問題に対処し、アジアの平和と安定を保つためには、日本、米国、韓国の緊密な関係が欠かせない。

 オバマ米大統領と韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の首脳会談で、あらためて浮き彫りになったのは、きしみが目立つ日韓関係改善の重要性だった。

 来月1日に韓国で開かれる日中韓首脳会談に合わせて、安倍晋三首相と朴氏による初の首脳会談の開催も調整されている。関係改善の第一歩にしたい。

 米韓首脳は共同声明で、北朝鮮の核・ミサイル開発に深い懸念を共有し、「最大限の緊急性と決意」で取り組むことを確認した。

 会談のテーマは北朝鮮問題だったが、もう一つの重要な議題は、日本と中国である。

 オバマ政権は、南シナ海での岩礁埋め立てやサイバー攻撃問題で、中国に警戒を強めている。そんな状況で、朴氏は、日米が距離を置く中国主導のアジアインフラ投資銀行への参加を決めたほか、先月には、米国の意向に反して、中国の抗日戦争勝利70年を祝う軍事パレードに出席した。

 対米関係を軸にしてきた韓国の外交が根本的な転換を始めれば、日米韓の北朝鮮包囲網が緩む。米国のアジア戦略にも影を落としかねない。日米、米韓の同盟関係あっての戦略である。

 オバマ氏は、会談後の会見で、中国が国際規範に反する行動を取った際には、韓国が米国と同じ「声を上げる」よう、注文をつけた。中国傾斜が懸念される韓国にくぎを刺したのは、理解できる。

 両首脳は、日中韓首脳会談への期待を表明し、オバマ氏は(日韓や日中間の)歴史に関する課題解決を希望すると述べた。

 日韓首脳会談では、歴史認識問題など山積する課題の解決に向けて、双方が不信感を取り除くよう努力することが大事だ。

 日韓関係には前進の兆しもある。中谷元・防衛相がソウルを訪問し、韓国の韓民求(ハンミング)国防相と会談した。

 日韓防衛相会談は安全保障関連法の成立後初めてで、日本の防衛相の訪韓は4年9カ月ぶりだ。

 中谷氏と韓氏は、北朝鮮の核・ミサイル問題など安全保障上の懸案に、日韓、日米韓が協力して対処することが重要との認識で一致した。

 中谷氏は安保法に理解を求めたが、韓氏は慎重な法運用を求めるなど、日本への不信感もにじませた。

 安保法に関して韓国は、朝鮮半島有事の際に、日本が韓国の領土、領空、領海に自衛隊を派遣し、対米支援に当たることを警戒している。

 中谷氏は、自衛隊が韓国で活動する場合は韓国の同意を得ると確約したが、当然のことである。

 日韓は、歴史認識などをめぐって、相互理解を深める必要がある。丁寧に対話を重ねながら、課題解決の糸口を探りたい。