日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社の株式が来月4日、東京証券取引所に上場される。

 上場後は政府の関与が徐々に少なくなり、市場の監視が強まる。小泉政権時代からの課題である郵政民営化は、大きな節目を迎えた。

 日本郵政グループがどのような成長戦略を描き、事業を発展させるのか注目したい。

 株式の売り出し価格は日本郵政が1株1400円、ゆうちょ銀行が1450円、かんぽ生命保険が2200円だ。

 それぞれ100株単位の売買が可能で、3社合わせて50万5000円で投資できることから、一般投資家の注目を集めている。

 売り出し価格による3社の株の時価総額は13兆567億円で、1987年の初値で約25兆円だったNTT以来の規模になる。中国経済減速の影響が続く東京市場の刺激剤としての効果にも期待したい。

 郵政民営化をめぐっては、日本郵政公社が2007年10月に五つの株式会社に移行した。12年10月には郵便事業、郵便局会社が合併し4社体制になったが、日本郵政の株式は政府が100%保有しており、国の支配下にある。

 政府は日本郵政株を段階的に売却し、保有比率を3分の1超まで引き下げる。日本郵政が全株式を持つ金融2社の株も徐々に放出される。

 上場には、東日本大震災の復興資金を捻出する狙いもあり、本年度は1兆4千億円が国庫に入る。総額では約4兆円を確保する方針だ。

 上場で3社の企業責任が問われるのは言うまでもない。投資家の信頼に応え、企業価値を高める努力が大切だ。

 だが、前途は多難だと言わざるを得ない。日本郵政グループの日本郵便の郵便・物流事業は、赤字体質から脱却できずにいる。日本郵便は、郵便局で金融窓口事業を代行して金融2社から手数料を受け取り、経営を支えているのが実情だ。

 今後は、日本郵便が手掛ける物流事業の強化や、金融2社の資産運用の改革など、収益力の向上が求められる。

 ただ、当面、新規事業への進出には制約も残るため、経営の自由度はそう高いとはいえない。ゆうちょ銀行には住宅ローンなどが認められておらず、効果的な資金の運用は容易ではあるまい。

 競争面では、政府が大株主の大企業だけに、民間企業への一定の配慮も求められる。

 自民党は6月、ゆうちょ銀行の預入限度額(現行1000万円)を2年後までに3000万円に引き上げることを柱とする提言をまとめた。

 しかし、銀行業界から「民業圧迫」との批判もあり、実現のめどは立たない。

 一方で、地域の郵便局を頼りにする高齢者らからは、引き上げを望む声も出ている。

 郵便事業と郵便局の金融窓口業務は、全国一律サービスが義務付けられている。今後も、しっかりと維持しなければならない。