安倍晋三首相と中国の李克強首相、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領との日中韓首脳会談がソウルで行われた。3カ国の首脳が一堂に会し、会談するのは2012年5月以来、約3年半ぶりのことだ。

 日中、日韓の首脳会談も行われた。中でも日韓の正式会談は約3年半ぶりで、安倍首相と朴氏が個別に会談するのは就任以来、初めてだった。

 アジアの平和と繁栄に重大な責任を持つ日本と中韓両国との関係が、いかに長い間、不正常な状態となっているかを物語るものである。

 ただ、冷え切っていた関係は徐々に改善に向かっている。首脳会談はその過程の一つであり、正常化への大きな節目になると評価できよう。

 日本と中韓両国の間には困難な問題が横たわっているが、重要なのは、懸案の解決へ各国が一つ一つ、地道に取り組んでいくことである。会談を契機に、関係改善の流れを加速させたい。

 日中韓首脳会談は2008年から12年まで毎年、持ち回りで開かれていた。中断したのは、沖縄県・尖閣諸島や島根県・竹島などをめぐって対立が激化したためだ。

 今回、3首脳が会談の定例化を確認し、来年の日本開催で合意したのは歓迎できる。

 共同宣言では「歴史を直視し、未来に向かうとの精神」で、地域の安全に向けて努力することで一致した。

 過去から目を背けず、きちんと向き合ってこそ、信頼関係を築けるという考えに異論はない。

 ただ、歴史認識の問題は常に争いの火種になってきた。自国の対外的な立場を有利にしたり、国内の支持基盤を固めたりするのに利用されてきた側面もある。

 しかし、それでは国民感情を悪化させ、溝を深めるだけだ。ともに自重し、対話を続けて乗り越えることが大切である。

 日中首脳会談では、戦略的互恵関係の重要性をあらためて確認した。一方で、李氏は日本の安全保障関連法を念頭に「隣国の懸念」に留意するよう求め、安倍首相は、中国が進める南シナ海での人工島造成に懸念を示したようだ。

 率直な意見交換は首脳同士だからできることである。それを相互理解につなげたい。

 従軍慰安婦問題について話し合った日韓首脳会談も同様だろう。

 安倍首相と朴氏は、問題の早期決着を目指し、交渉を加速させることで一致した。主張の隔たりは大きいが、双方の努力で解決しなければならない懸案である。

 日中韓には、停滞している自由貿易協定(FTA)交渉の促進や、北朝鮮の非核化に向けた対応など、共通の課題も数多い。

 一連の首脳会談で強調されたように、未来志向の協力関係を構築することが、アジアだけではなく、世界の平和に貢献することになる。それを忘れず、信頼を醸成してもらいたい。