政府が、地球温暖化による悪影響を抑える取り組みをまとめた初の「適応計画」案を公表した。

 計画案は、自然災害や農業など7分野について、今後10年間の施策を掲げている。

 温暖化は、私たちの暮らしから産業まで広い範囲に悪影響を及ぼし始めている。温室効果ガスの排出削減だけでは当面の悪影響を避けられないため、現状を見据えた対策が急務である。

 今月末から始まる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、各国に説明する。

 温暖化の進展について、環境省の専門家会合は、今世紀末の日本の年平均気温が20世紀末に比べて最大4・4度上昇すると予測する。局地的豪雨も増え、国内の1級河川で洪水が起きる確率は1・8~4・4倍になるとしている。

 計画案が重大な課題としたのは、水害や農作物に対する被害対策である。

 水害対策では、堤防整備などのハード面の施策はもちろん、床上浸水の頻度を地域住民に公表するなどのソフト面の施策も推進する。災害リスクの低い地域への居住を誘導も念頭に置いている。ただ、その工程表などは示されておらず、今後に課題を残した。

 9月には茨城県の鬼怒川堤防が決壊し、大きな被害が出た。堤防の整備を進める地域や時期など対策の具体化を急がなければならない。

 農業分野では、コメの生産で、品質の低下や病気の増加が予想されており、「2019年をめどに病害虫に対する被害軽減技術を開発・普及させる」とした。高温に強い品種の開発や管理技術の普及の加速化も欠かせない。

 一方で、気温の上昇を新しい作物の栽培に取り組む機会と捉えることもできる。熱帯や亜熱帯の果物を関東などで育てる動きも出てきている。環境の変化を逆手に取る知恵を絞りたい。

 留意しなければならないのは、健康面で、感染症の拡大や熱中症の増加などが指摘されていることだ。

 デング熱などを媒介する蚊の生息域の拡大に対しては、駆除のほか、蚊の定点観測や感染症の発生動向の把握も大切だ。熱中症対策では、農業など戸外の仕事場に、作業用ロボットの導入を急ぎたい。

 徳島県にとっても、各産業、分野で温暖化への対応が喫緊の課題である。

 県は先月、新たな対策に乗り出し、県環境審議会に「県気候変動適応戦略(仮称)」の策定を諮問した。温暖化の悪影響を抑える方策や、新しい作物の可能性を探り、本年度末をめどに中間報告を取りまとめる。山間部の多い本県の特徴に合った対策を見いだし、農林水産業などに生かしてほしい。

 気候変動で生じる悪影響は地域によって異なるため、自治体での取り組みが重要である。政府は、きめ細かな情報提供などを通じて、自治体を後押ししてもらいたい。