全国の小中高校が2014年度に認知したいじめの件数が、文部科学省が再調査を求めた結果、約3万件増えて18万8057件となった。

 再調査は、岩手県矢巾町(やはばちょう)で今年7月に中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺したとされる問題を受けたものだ。

 認知件数の増加は、軽微な内容も全て計上したことが理由である。

 再調査をしなければ見過ごされたいじめが、重大な結果を招く恐れもあっただろう。学校や教育委員会は危機感を持ち、小さな変化を見逃さないよう、意識改革に取り組まなければならない。

 調査によると、全国のいじめの件数は13年度から2254件増加した。小学校では初めて12万件を超え、過去最多となった。

 文科省は、13年度に都道府県間の認知状況に大きな差が出たことも踏まえ、14年度分の件数が実態を反映していないと判断。短期間で解消したケースも含め、再調査して報告するよう通知した。

 再調査による大幅な件数増加は、学校が軽微ないじめを問題視してこなかったことの表れだろう。現場の教諭からは「子ども同士のトラブルは月に何度も起こる」との声もあるように、いじめとトラブルの線引きは難しいのが現実かもしれない。

 矢巾町の問題は、軽微ないじめの蓄積が原因とみられている。だが、学校は人間関係のトラブルとして捉え、いじめとして報告しなかった。

 大切なのは、小さなトラブルでも放置しないことだ。積極的に解決し、いじめの芽を摘まなければならない。

 徳島県内でも、再調査で212件増えた。公立校で728件が認知され、過去2番目に多かった。

 県内の学校関係者は、いま一度、子どもたちと丁寧に向き合うことが大事だ。

 11年の大津市の中2男子自殺問題を受けて制定されたいじめ防止対策推進法で、学校に義務付けられたいじめ防止基本方針の策定や対策組織の設置は、今年10月1日時点で99・9%が実施されている。

 ただ、実施済みの矢巾町のケースで組織的対応ができていなかったとの指摘もある。

 県内でも組織的対応ができているか、教育委員会や学校はチェックする必要がある。

 スマホの普及で、いじめが見えづらくなったともいわれる。第三者が見ることができない無料通信アプリLINE(ライン)を使って仲間はずれにすることもあるようだ。家庭などで子どもの話に耳を澄まし、これらのいじめがないか留意したい。

 1日、名古屋の中学1年の男子生徒が地下鉄に飛び込み、自殺する事件が起きた。自宅からは学校でのいじめを訴える遺書が見つかった。

 いつまでたっても、いじめによる犠牲者が出ることに心が痛む。いじめは、加害者の側にも大きな心の傷を残す。学校関係者や生徒一人一人が肝に銘じなければならない。