衆院予算委員会の閉会中審査が実施された。

 安全保障関連法の成立を与党が強行した通常国会の閉会から約1カ月半ぶり、第3次安倍改造内閣が発足してからは初めての国会論戦である。

 この間、環太平洋連携協定(TPP)が大筋合意するなど、国会で議論しなければならない新たな問題や課題がたくさん出てきた。

 本来なら臨時国会を開くべきなのに、政府、与党は拒んでいる。閉会中審査はきょうの参院予算委を合わせて2日間しかなく、これで十分な審議ができるはずがない。早急に臨時国会を召集するよう、あらためて求めたい。

 TPPの大筋合意について、安倍晋三首相は「交渉参加の際に約束したことは守ることができた」と述べた。コメなど農業重要5項目を「聖域」とし、関税撤廃の例外とした国会決議に沿っているとの認識を示したものだ。

 国内の農業対策では「農業を成長産業化させる」と約束し、「世界のマーケットが広がっていく」と輸出拡大に意欲を示した。

 しかし、農林水産業の先行きに対する不安は全国に広がっている。予算委では野党議員から、農業で米国などに大きく譲歩した一方で、自動車分野の関税撤廃は不十分だといった批判が出された。

 TPPは秘密交渉だったこともあり、合意内容には不明な点が少なくない。具体的にどんな影響があるのかも不透明なままだ。国会決議との整合性を含めて、さらに厳しく検証する必要がある。

 政府、与党が臨時国会の召集を拒否するのは、新閣僚の「政治とカネ」などの問題を追及されたくないからではないか。予算委では、そんな疑いがますます強まった。

 高木毅復興相が代表を務める自民党支部などが、選挙区内で香典を支出したと政治資金収支報告書に記載していた問題である。

 公選法は、政党支部などが選挙区で香典を出すことを禁じているが、議員本人が出席し、私費で出した場合は罰則が適用されない。

 高木氏は「私が弔問に行って、私費で出したのは間違いない」と強調した。これに対し、現地で調査したとする野党議員は、高木氏が葬儀後に持参したり、代理が持って行ったりしたのではないかと追及した。

 高木氏をめぐっては、故人の枕元に供える枕花代の支出疑惑なども浮上している。大臣の資質とともに、首相の任命責任も問われよう。徹底的な糾明が求められる。

 予算委では、首相が突然打ち出した「新三本の矢」や、米軍普天間飛行場の移設問題、消費税増税に伴う軽減税率なども取り上げられたが、いずれも時間が足りず、議論は深まらなかった。

 短い閉会中審査でお茶を濁すようなことは許されない。政府、与党は、野党が求める本格的な論戦を受けて立つべきだ。