パリ中心部の同時多発テロを受け、過激派組織を封じ込める動きが広がってきた。

 マニラで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)は、テロ行為を強く非難する首脳宣言を採択した。

 国際会議や首脳会談で、テロ対策を強化する方針が次々と打ち出されているのは、もはやどの国もテロの脅威と無関係ではいられないという危機感の表れだろう。

 国際社会はこれまで、何度もテロ撲滅に向けた決意を表明してきたが、各国の利害や思惑が絡み合い、有効な手を打てずにきた。しかし、もうそれは許されない。

 大切なのは、この機を逃さず、結束して取り組む体制を構築することだ。失敗を繰り返してはならない。

 フランスでは、同時テロで犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」の拠点の捜索や容疑者の摘発が続いている。その中で新たなテロ計画も判明した。徹底した捜査で再発を防いでもらいたい。

 「イスラム国」は欧米など多数の国に、さらなるテロを仕掛けると警告している。来年の主要国首脳会議や2020年の東京五輪を控える日本も、対策を急ぐ必要がある。と同時に、欧州の難民支援や貧困の撲滅など、できる限りの貢献をしていきたい。

 シリアとイラクにある「イスラム国」の拠点に対しては、米国主導の有志国連合が昨年から空爆している。同時テロを受けてフランスが新たにシリア空爆を始め、英国も参加の意向を示した。

 一方、シリアのアサド大統領を支持するロシアは、反体制派も空爆の対象としたため、反体制派を支援する有志国連合と対立していた。

 だがロシアは、エジプトで起きたロシア機墜落を「イスラム国」によるテロと事実上断定し、同組織への空爆強化にかじを切った。

 米ロの足並みがそろったのは前進といえよう。ただ、空爆の巻き添えになる一般住民もまた、パリと同様、何の罪もない人々である。憎悪が新たなテロを生む負の連鎖につながりかねない。

 軍事力だけでは限界があるのも、イラクやアフガニスタンの状況を見れば明らかだ。

 最も重要なのは、テロの発信源となっているシリア内戦の政治的解決を図ることである。その点、同時テロ直後にウィーンで開かれた米ロなど17カ国による多国間外相級協議が、新たな和平案で一致したのは画期的だった。

 アサド政権と反体制派による直接対話を年内に実現させ、半年で移行政権樹立、1年半以内に新憲法に基づく大統領選を行うというものだ。

 アサド大統領の進退をめぐって米ロ間になお溝があり、和平案の成否は見通せない。だが、テロの脅威が深刻化する中、手をこまねいている時間がないのは明白だ。

 米ロをはじめ各国は対立を棚上げし、シリア和平の実現とテロ撲滅に全力を注がなければならない。