任期満了に伴う阿南市長選は、現職の岩浅嘉仁氏が、新人で元市議の福島民雄氏を破り、4選を果たした。

 在任期限を3期とした公約に反して、岩浅氏が4選出馬したことの是非や、岩浅市政3期12年の評価が問われた選挙だった。

 票差が開いたとはいえ、岩浅氏は市民の負託を謙虚に受け止めなければならない。市の課題は山積している。県南部の中核都市を今後どのように発展させていくのか。将来を見据え、より具体的な道筋を示してもらいたい。

 選挙戦で岩浅氏は、人口減少に歯止めを掛ける施策として医療の充実を掲げ、市内の2病院を統合した阿南中央医療センター(仮称)の整備の必要性などを訴えた。

 子育て支援策の充実のほか、「野球のまち阿南」を通じた交流人口の拡大策、「光のまち阿南」のLEDを活用したにぎわい創出といった実績もアピールした。それらが、市民の評価を受けたとみられる。

 一方、選挙戦を通して福島氏は「公約を破って出馬するのを見過ごせない」と多選批判を展開した。政策課題では、子育て支援の充実を挙げた一方で、医療センター計画での市の過大な負担の見直しや、市民会館移転新築計画の中止、市東京事務所の廃止などを掲げた。

 これからも大型事業を推進するのか、それともお金の使い道を変えるのか。有権者にとって、比較的分かりやすい対立点だったといえる。

 だが、阿南市の豊かな財政状況を前に、箱物行政からの脱却など「倹約」を主張する福島氏の訴えは、十分に浸透しなかったといえよう。

 阿南市の財政力指数は、県内の自治体で最も高く、西日本でも近畿を除く210市で1位である。

 強い財政力は行政努力というよりも、立地企業などからの税収が大きいためで、流動的な面があるのは否めない。市の借金に当たる市債残高も増え続けており、十分な目配りが欠かせない。

 岩浅氏は事業の優先順位を見極め、効率的な財政運営を心掛ける必要がある。

 選挙戦で、岩浅氏が多選について積極的に触れようとしなかったことは残念だ。

 初当選時の公約に従い、2007年に自らが提案して成立させた「市多選自粛条例」は、多選が市政のマンネリ化・硬直化を招き、腐敗も生みやすいとしていた。

 自粛条例は昨年、市内15団体から撤廃を求める要望書が提出され、市議会で廃止となった。要望書は、市長派の市議らの依頼で出されたとの証言もある。こうした経緯に対して不信感を抱く市民は決して少なくない。

 岩浅氏は、多選の弊害が出ないよう、細心の注意を払いながら、4期目の市政に当たってもらいたい。十分に説明責任を果たし、市民との信頼関係の構築に努めることが大切である。