徳島県内の農業離れに、何とかして歯止めをかけたい。

 農林水産省が発表した2015年農林業センサスによると、2月1日時点の県内の農業就業人口は3万150人で、10年の前回調査に比べて8161人、21・3%減少した。1990年の6万4176人と比べると半分以下だ。

 高齢化も一段と進んでいる。平均年齢は前回から0・9歳上昇して66・8歳となった。全国平均の66・3歳を上回り、65歳以上の割合は前回比3・1ポイント増の64・0%を占めている。

 環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意により、海外の安い農産物が流入すればさらに就農人口が減るとの懸念が強い。徳島の基幹産業である農業を守り、将来に希望をつなぐためには、後継者の育成や経営体質の強化が喫緊の課題だ。農業の魅力を高め、生産者が安心して農業に取り組める施策が求められる。

 TPPの発効に備え、政府は総合的な対策大綱を決定した。農業強化策の検討を急いでいる。

 県もまた、小規模経営体への支援など「守り」の施策とともに、6次産業化の推進や輸出拡大、高付加価値化によるブランド力向上など「攻め」の取り組みを盛り込んだ基本戦略案を示した。実効ある戦略を早急に策定すべきである。

 拡大する一方の耕作放棄地対策も課題だ。センサスによると、過去1年以上作付けせず、今後も数年間耕作する予定がない県内の耕作放棄地は4582ヘクタールと過去最大となった。小松島市の面積に相当する土地が手付かずで放置されているのは深刻な状況だ。

 耕作放棄地対策では、遊休地を借り上げて大規模経営を目指す農家などに貸し出す農地中間管理機構の活用がある。政府の成長戦略の一環として全都道府県に設置されたが、14年度の県内の貸し付け面積は目標のわずか4%にとどまった。周知不足や長期貸与することへの土地所有者の不安などが理由とみられる。

 このため、政府は16年度税制改正で、保有農地を農地中間管理機構に貸し付けた場合、固定資産税を最大で5年間半減する優遇策を盛り込んだ改革案をまとめた。農地集約が進むよう期待したい。

 新規就農を目指す人たちへの支援も欠かせない。県は本年度から、就農希望者を農家や農業法人が雇用し、生活支援をしながら農業技術を学んでもらう研修事業を始めた。

 農地を持っていない人が農業を始める場合にネックとなる土地や機械、ノウハウを提供することで、若い担い手を確保するのが狙いだ。農業者として独り立ちし、地域に定着してもらえるようきめ細かなサポートを続けたい。

 高齢化の急速な進行で、農業をやめる人は今後も増えていく。センサスから読み取れる課題は対策が急務であることを示している。行政は危機感を持って対策を進める必要がある。