消費税の増税に合わせて始める軽減税率制度は、2017年4月の導入時から、酒類や外食を除く生鮮食品と加工食品を対象にする方向で固まった。

 対象品目の範囲をめぐっては、税収の減少額を小さくするため絞り込みたい自民党と、増税時の痛税感を和らげるため幅広く適用したい公明党との間で、綱引きが続いていた。

 結局、連立政権からの離脱も辞さないとする公明党の強い姿勢に対し、自民党が折れた形である。

 軽減税率の導入は、低所得者ほど負担感が強い消費税の逆進性を緩和するのが目的だ。増税による個人消費の落ち込みを抑え、景気の冷え込みを防ぐ狙いもある。

 その意味で、パンや麺類、総菜、レトルト食品などを含む加工食品を対象にすることは、本来の趣旨に沿うといえよう。

 加工食品から菓子類や飲料を除く案もあったが、菓子パンは菓子類か、お汁粉は飲料かなど、線引きが難しい品目が出てくる。

 紛らわしい商品が増えると、小売店や消費者の戸惑いは大きくなる。それを避ける点でも、含めるのは妥当な判断だろう。

 軽減税率の導入に伴い、品目ごとの税率などを記入する「インボイス(税額票)」の発行を義務付けることも決まった。事業者にとっては負担であり、混乱が生じないよう十分に準備する必要がある。

 対象品目の方向性は定まったが、税収減を穴埋めする財源については、与党の調整が難航した。

 生鮮食品や加工食品全体の税率を8%に据え置く場合、10%に上げるのに比べて年間約1兆円の税収が減る。

 このうち約4千億円は、医療や介護などの自己負担を抑える「総合合算制度」の創設を見送ることで、めどが付いている。

 問題は、残る約6千億円をどう確保するかである。

 消費税増税は社会保障の維持・充実が目的であり、社会保障費をさらに圧縮することは許されまい。

 そこで浮上しているのが、景気回復に伴う税収の増加分を活用したり、たばこ税を増税したりする案だ。消費税増税で増える税収のうち、国の借金返済に充てる分の一部を回す案もある。

 だが、景気回復による税収の上振れは毎年見込めるわけではなく、たばこ税の増税はタバコ農家に打撃を与える恐れがある。

 借金返済分を充てる案も、国の基礎的財政収支を改善し、1千兆円を超える借金を減らす政府の財政健全化計画に支障を来す。

 いずれも問題があるものの、どうすればマイナスの影響を最小限にとどめられるか、政府、与党の力量が試されるところだ。

 財政再建に最大限の配慮をしながら、知恵を絞ってもらいたい。