米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)が、主要な政策金利を事実上ゼロに抑える金融政策をやめ、金利を年0・25%引き上げることを決めた。

 ゼロ金利政策を終えても、米国の経済は引き続き緩やかに拡大すると判断したためだ。利上げは2006年6月以来、9年半ぶりである。

 FRBのイエレン議長はこれまで、雇用情勢などを見極めた上で最終判断する考えを示唆していた。先月の雇用統計は予想以上に良好で、環境が整った以上、異例の緩和政策を解除したのは妥当といえよう。

 市場も今回の利上げを織り込んでおり、大きな混乱はなかった。

 しかし、米国内外の経済情勢には不安要因が多い。世界に及ぼす影響は計り知れないだけに、FRBには慎重なかじ取りを求めたい。

 ゼロ金利は、未曽有の金融危機に直面したリーマン・ショックに対応するため、08年12月に開始した。

 同時に、市場に大量のお金が出回るようにする量的緩和政策も導入したが、雇用情勢が改善したとして、昨年10月に終了している。

 ゼロ金利の解除により、米国は緩和政策の「出口」にたどり着いたことになる。今後は、正常化への道を着実に歩めるかどうかが課題となる。

 不安要因の一つは、中国など新興国の景気が減速していることだ。

 米国の足元も、まだ万全とはいえない。雇用が改善したとはいえ、個人消費の鍵を握る賃金の上昇は鈍く、物価も思うように上がっていない。

 イエレン議長が、今後の追加利上げについて、ゆっくりしたペースで行う姿勢を強調したのは、判断を誤れば、政策の後戻りを強いられるという懸念の表れだろう。

 FRBは金利を数年間で3%超まで引き上げていく考えだが、国内外の情勢に目を凝らし、細心の注意を払いながら進めることが欠かせない。

 新興国の成長を支えている投資マネーが、金利を上げた米国に大量に流出する心配もある。

 急激な資金流出は通貨安など、新興国に大きな打撃となる。米国が監視するのはもちろん、新興国は、中長期的な成長力を高める経済の構造改革を急ぐ必要がある。

 量的緩和を続ける日本は、まだ緩和政策からの出口を見つけられずにいる。

 米国の金融政策と逆行することになったが、日本経済にとっては、円安・ドル高が一層進むことで輸出が促進され、プラスになるとの見方が強い。

 半面、原材料などの輸入価格が上昇し、中小企業の負担が増える恐れもある。銀行や企業がドルを調達する際のコストが高くなり、企業の海外展開に悪影響が出る可能性も指摘されている。

 日本政府は影響を厳しく点検し、しっかりと対応していかなければならない。