徳島県東部の7市町村が進めてきた、佐那河内村を建設候補地とする広域ごみ処理施設計画が頓挫した。

 11月1日に行われた同村の出直し村長選で反対派の岩城福治(よしじ)氏が当選したことを受け、7市町村でつくる協議会は計画を白紙撤回。徳島市が単独整備の道を選んだため、協議会は解散し、広域連携の枠組みは崩れた。

 徳島市以外の5市町は広域整備を望んでおり、佐那河内村も、できれば協議会に残りたいとしていた。協議会の中核を担ってきた徳島市が、こうした他市町村の意向を顧みず、連携から離脱することには首をかしげざるを得ない。

 徳島市は単独整備を決めた理由について、施設の一つは築36年で、早急に更新する必要があるからだと説明する。

 しかし、施設整備を急いでいるのは同市だけではない。施設の更新時期は完成から20~25年とされるが、小松島市と石井、北島両町の3施設は築30年を超えている。

 徳島市は「人口5万人以上または面積400平方キロ以上」という要件を満たすため、施設建設費の3分の1、建設による借金の返済費用の半分を、国が交付金で賄ってくれる。だが、他の6市町村は単独では要件をクリアできない。徳島市はこうした事情を考慮したのだろうか。

 市が単独整備を決定するまでの経緯にも疑問が残る。

 原秀樹市長は出直し村長選の直前、施設整備について「年内に方向性を決めたい」と述べていた。ところが岩城氏が当選すると、「関係市町の意向もあり、12月にはこだわらない」と発言。この後、また一転し、他市町村から新たな建設候補地が11月中に提案されなければ、市単独で整備する考えを示した。

 そんなふうに方針を変えた末、いきなり候補地を挙げろというのはどうか。11月という期限を切ったのも、来春の徳島市長選を見据え、12月初旬の発表を予定していた主要政策に施設の整備方針を盛り込みたかったからだろう。協議会のまとめ役の会長が、自己都合を優先したのだとすれば、無責任ではないか。

 小松島市の浜田保徳市長は市議会で、徳島市長選後に広域整備に向けた協議を市に持ち掛ける意向を示した。市はこれに応じてはどうか。

 今のごみ行政は減量化や再資源化抜きには語れない。ただ、それだけでは間に合わないのが現実だ。人口減、財政難の時代にあって、経費や環境への負担を軽減できる広域処理は当然の流れといえる。

 出直し村長選の告示後に徳島新聞が行った村民意識調査では、施設建設について100人中52人が「賛成」もしくは「やむを得ない」と回答した。広域処理には一定の理解が得られていたようだ。

 肝心なのは情報公開に努め、住民の合意形成を図ることだ。単独整備でも住民の理解が得られなければ、事業は進まない。住民目線で広域整備の方策を探るべきである。