不正会計問題で揺れる東芝が、経営再建に向けた大規模なリストラ策を発表した。

 本社と社内分社の家電事業で、国内外合わせて約7800人を削減する。既に決めた半導体事業と合わせて約1万600人に上る。伝統の家電事業の大幅縮小など、企業の形を変えるほどの内容だ。

 室町正志社長は「構造改革を断行し、V字回復を目指す」と言う。だが、市場の信用が著しく低下した現状で、うまく再建軌道に乗せられるかどうかは不透明である。

 東芝の2016年3月期連結決算の純損益は、過去最悪の5500億円の赤字になる見通しだ。リーマン・ショック後の09年3月期の3988億円を大きく上回る赤字であり、ダメージは大きい。

 不正会計問題による株価下落を受けて株主が東芝や旧経営陣を相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こしている。その対応にも迫られよう。

 リストラ策は従業員に大きな痛みを強いるものだ。本社と家電、半導体には3月末時点で計4万4100人が在籍しているが、計3万3500人に削減する。

 こんな事態を招いたのはリーマン・ショック後、旧経営陣が収益改善の無理な目標を求めたことから、業績悪化が不正会計で覆い隠され、再建のきっかけを失ったのが要因だ。旧経営陣の責任は重い。

 事業のリストラは多岐にわたる。インドネシアにあるテレビや二槽式洗濯機の工場は中国家電大手スカイワースに売却。テレビは自社生産から撤退し国内販売も縮小する。

 パソコンは東芝本体から切り離し、企業向け販売子会社の東芝情報機器と統合。テレビやパソコンの開発拠点の青梅事業所は閉鎖か売却する。

 白物家電はシャープと、パソコンは富士通やVAIOとの統合も検討しているようだが、いずれも「弱者連合」との見方もある。

 診断装置を扱う子会社で業績好調な東芝メディカルシステムズも売却する方針だ。

 東芝はリストラを進めて、中核と位置づける原発や半導体、医療用機器の3事業で成長戦略を加速させる。

 だが、原発事業では、米国子会社の原発事業で、追加損失の処理を迫られる懸念もある。東京電力福島第1原発事故の影響から世界的に原発の建設が停滞し、受注環境が悪化したためだ。課題は残る。

 山積する課題に対処して再生を果たすためには、外部からの経営者招聘(しょうへい)を含めた経営体制の見直しはもちろん、研究や製品開発に打ち込める環境づくりが急務ではないか。

 テレビや洗濯機でなじみ深い東芝など日本の家電の衰退は残念だ。韓国や台湾、中国企業がシェアを奪ったのは、日本製品を研究したからだ。

 政府は、東芝のリストラにより大量の技術者が海外に流出するのを防ぐ手だてを講じてもらいたい。事業縮小に伴い、業績悪化が懸念される部品メーカーや下請け企業などへの支援策も欠かせない。