衆院選挙制度改革を検討する有識者調査会が、議員定数を10減らし、465議席とする答申案をまとめた。

 「1票の格差」を是正するため、人口比を反映しやすい「アダムズ方式」を採用した結果、首都圏で議席が増え、東北や九州は減少した。都道府県間の格差は現行の1・788倍から1・621倍に縮小する。

 格差を是正する現実的な方法として、答申案には一定の評価ができるだろう。

 最高裁は、衆院選の1票格差訴訟で、3回連続で違憲状態との判断を示している。与野党は答申案を尊重し、格差是正を急ぐべきだ。

 答申案では、東京都と4県の小選挙区を7増やす一方、青森や長崎など13県で1ずつ減らし、計6減の289とする。比例代表は4減の176となる。

 ただ、小手先の修正にとどまったとの印象は拭えない。このままでは人口変動に伴い、選挙区間の格差が再び大きくなるのは明らかだ。

 「格差は小さいほど良い」という観点だけで、是正を進めていくことには疑問を感じざるを得ない。

 東京一極集中が進む現状では、都市部の議席が増え、地方は減り続けるからだ。「地方の声」の切り捨てにつながらないか。

 示された議員定数465は、1946年の衆院選の定数466を下回り、戦後最少となる。定数の大きな削減は、政府を監視する国会の機能を損なう恐れがある。

 日本は、欧州に比べて人口当たりの議員数が少ない。

 しかし、定数削減は、消費税増税に伴って国会議員も「身を切る改革」が必要だとして、自民、公明、民主の3党が国民に約束したものだ。

 定数の削減数を10としたことは、格差是正との両立を図る上で、やむを得ないといえよう。

 気になるのは、定数削減について、自民党が消極的な姿勢をみせていることだ。

 選挙制度改革は、与野党の意見が分かれたため、有識者調査会に議論を委ねた経緯がある。

 本来、政治家が自ら決めるべき制度改革を有識者に委ねた以上、結論には真摯(しんし)に向き合わなければならない。

 自民党は、党利党略を排し、与野党の合意形成に主導的な役割を果たすべきだ。

 そもそも、小選挙区制度は、得票率と獲得議席の間に乖離(かいり)が生じやすいという構造的な問題を抱えている。

 昨年の衆院選で、自民党は48%の得票で76%の議席を獲得した。政権交代が起こりやすい半面、死票が多く発生するため、少数意見が反映されにくいという欠点を持つ。

 民意をより反映させるために、選挙制度の在り方を早急に考えなければならない。区割りをたびたび変更する数合わせの是正策をいつまでも取ることは許されない。

 与野党に抜本的な改革を求める。