第2次安倍政権の発足から3年が過ぎた。経済再生を最優先課題に看板政策の「アベノミクス」を推進し、デフレからの脱却を目指しているが、まだ道半ばである。

 安倍晋三首相が経済政策と並行して力を入れるのが、戦後日本の安全保障政策の転換だ。憲法解釈の変更で集団的自衛権の一部行使を容認し、安全保障関連法を強引に成立させたことは、大きな論議を呼んだ。

 それでも内閣支持率が堅調なのは、経済政策を中心に国民の一定の評価を得てきたからだろう。ただ、一時は不支持率が支持率を上回った。首相に求めたいのは、国民目線の謙虚な政治姿勢である。

 「『桃栗三年、柿八年』と言うが、桃と栗は何とか収穫できた」。首相が語った3年の成果だ。「桃」と「栗」は経済、外交政策を指したもので、8年は長期政権への意欲とも受け取れる。

 この3年、安倍首相は大胆な金融緩和や機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を放ち、株価上昇と企業業績の改善を促した。デフレのどん底で就職難の若者があふれた発足時より、活気は戻ったようだ。

 ただ、地方はまだ十分な効果を実感できない。「地方創生」を掲げる以上、大都市との格差是正を急いでほしい。

 首相は国際情勢の変化を理由に、矢継ぎ早に安全保障政策を転換してきた。

 昨年4月、武器輸出三原則に基づく防衛装備品の禁輸政策を撤廃。年末には国民の知る権利を侵害する恐れが強い特定秘密保護法を施行した。

 今年9月、「憲法違反」の指摘が相次ぐ中、与党の数の力で安保関連法を成立させたことが、「国民不在」との批判を浴びたのは当然だ。

 首相に欠けているのは、丁寧な政権運営と国民のコンセンサスを得る努力である。

 その証左の一つが、米軍普天間飛行場(宜野湾市)をめぐる沖縄県との摩擦だ。安倍政権が進める名護市辺野古移設に翁長雄志知事が強く反発し、国と県の異例の法廷闘争にまで発展した。沖縄振興予算を盾にとる「アメとムチ」の手法には、賛成できない。

 外交面では、首相は60カ国以上を訪れるなど精力的な動きを見せたといえる。だが、中国や韓国との関係改善が遅れたのは反省すべきだ。

 韓国とは、新たな基金創設を解決策に、従軍慰安婦問題の決着を目指す構えであり、その成果に期待する。

 首相は昨年末の衆院選で与党を圧勝に導き、自民党総裁選で無投票再選を果たすなど「1強状態」にある。安保関連法の成立後は、「1億総活躍社会」を打ち出し、新三本の矢を掲げるなど、来夏の参院選をにらんで、再び経済優先を前面に押し出した。

 気になるのは、野党が求める臨時国会の召集に応じないなど、身勝手とも映る姿勢が垣間見えることだ。国会の論議を尊重し、国民生活の向上に力を注いでもらいたい。