国内、海外ともに対立が目立った1年だった。互いの主張や生存の権利を認め合う寛容さが求められる。

 テロは言語道断であり、力による現状変更も断じて許されない。

 国内では、安倍政権が推し進めた安全保障関連法に対する賛否が世論を二分した。「憲法違反」の疑いが拭えない中、与党が数の力で強引に関連法を成立させたことには大きな疑問が残る。

 安倍晋三首相は「政権の説明が不十分」との国民の批判にどう答えるのか。通常国会での対応が問われよう。

 年も押し詰まり、韓国との間の最大の懸案である従軍慰安婦問題が、解決に向け大きく前進した。日韓外相が「最終的かつ不可逆的な解決」で合意したことを評価したい。

 日本は軍の関与と政府の責任を認め、元慰安婦を支援する財団に10億円を拠出する。また、ソウルの日本大使館前から被害女性の象徴である少女像を撤去するよう求めた。実現させることが重要だ。

 環太平洋連携協定(TPP)交渉が大筋合意したが、農業圧迫の懸念は尽きない。農畜産物の関税引き下げや撤廃で安価な輸入産品の攻勢にさらされる農業の強化、支援策が急務だ。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設計画をめぐる国と県の対立は、ついに法廷闘争に発展した。国は在日米軍専用施設の74%が集中する沖縄に、寛容な姿勢を取れないものか。

 2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の建設計画も迷走した。建設費膨張で旧計画が白紙撤回され、再選考で建築家の隈研吾氏らの新計画が選ばれた。公式エンブレムも撤回されるなど問題続きで、国際的に大きなイメージダウンだ。五輪組織委員会に運営の改善を求めたい。

 海外では、11月にパリで銃乱射や爆発などのテロが起き、130人が死亡した。エジプトではロシア機が墜落し、224人が死亡。プーチン大統領は過激派組織「イスラム国」のテロと断定し、シリア空爆を強化した。非道なテロを強く非難する。

 内戦が続くシリアなどからは、欧州に向かう難民や移民が急増した。欧州連合では難民受け入れの割り当てをめぐって各国の温度差が表面化。難民排斥の動きも現れた。日本など国際社会は人道的見地から、難民救済を急がなければならない。

 南シナ海は、中国が南沙諸島で人工島や滑走路を造成し、緊張が高まった。フィリピンなどと領有権で対立する地域で、実効支配を既成事実化するのは認められない。

 長い対立から共存への動きを確かなものにしたのが、米国とキューバの国交回復だった。昨年末のオバマ大統領とカストロ国家評議会議長との合意に基づき、双方が大使館開設にこぎ着けた。

 各国が歩み寄りの努力を共有し、世界の潮流にしたい。