徳島県出身の福岡利武さんが監督を務めた短編映画「クジラの骨」に、主人公夫婦と交流する不思議なお遍路の青年役で出演した若手人気俳優の井之脇海(いのわき・かい)さんが、徳島市で開かれた徳島国際映画祭の舞台あいさつに出席するため来県。徳島新聞のインタビューに、海陽町で行われた撮影の思い出や、今後の抱負を語ってくれた。

写真を拡大 徳島国際映画祭での舞台あいさつのため来県した井之脇海さん=徳島市のあわぎんホール

 -お遍路の青年役をどう演じたのか。
 脚本を頂いた時に、主人公夫婦を中心としたすごくすてきなお話だと思いました。僕が演じた青年はお遍路をしているので悩みなどがあるんだろうと思っていたんですが、最終的には人間かどうか分からない役でした。
 福岡監督からは「夫婦にとっての柔らかい希望の光であってほしい」という言葉を頂いたので、目線や夫婦2人を見つめる目の奥にある光みたいなものを意識して、柔らかく優しい物語の一員になれるよう演じました。

 -温かな空気感が持ち味の井之脇さんはまさに適役だった。
 日頃から人と接する時は真摯(しんし)な対応を心掛けていて、それが演じる上での温かい雰囲気につながっているのかもしれません。今回の役でも、僕が演じたからこそ出せた雰囲気があったらいいなと思います。
 お芝居は自分からにじみ出るものなので、僕自身がいろんな経験を積んで人間的に成長すれば、もっと違ったイメージも持ってもらえるかもしれません。ただ今は、温かいと感じていただくことをすごく光栄に思います。

 -撮影が行われた海陽町のイメージは。
 自殺率の低さが全国でも上位の町だと聞いて、穏やかな場所を想像してました。実際行ってみると本当にのどかで時の流れがゆっくりしていて、波の音が生活の一部になっているような居心地がよいすてきな所でした。
 僕自身、神奈川県横須賀市の漁師町出身で「海」と名付けられたので、全国のいろんな海を見てきました。海陽町の海はすごくパワーがあるけど、人を巻き込まずに寄り添ってくれるような、とても静かでよい海でした。

 -海陽町で思い出に残っていることは。
 お魚は全部おいしかったですね。東京ではしょうゆにスダチを搾って刺し身を食べることはあまりないので、新鮮ですごくおいしかったです。チューリップ(鶏の手羽元)のから揚げもおいしくてバクバク食べました。

 

 -今後もドラマ「集団左遷!!」や映画「ザ・ファブル」など出演作がめじろ押しだ。
 友達が「テレビに出ているのを見たよ」と連絡をくれたり、いろんな所で声を掛けていただくことが増えたりして、これまでコツコツとやってきたものが結果として出てきたなということは実感しています。
 ただ、謙遜している訳ではなく、役者としての自分の成長はまだまだだと思っています。ですから、周りから頂く評価におごることなく、油断せずに、今までと変わらない努力を続けていきたいと思っています。

 -どんな役者を目指しているのか。
 ひと言で言うのは難しいですが、とにかくよい役者になりたいです。役を演じることは人の人生を演じることなので、その役の人生にちゃんと向き合い、責任を持って一つ一つ丁寧にやっていける役者になりたいです。
 お芝居だからこそできる役になれるのがこの仕事の魅力なので、極限の精神状態に置かれたような役をやった時に、自分がどんな状態になるのか体験してみたい。日常ではあり得ない出来事を起こす役や、起こされる役をやっていたいですね。