昨年12月に採択された地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」に基づき、政府が新たな国内計画をまとめた。

 温室効果ガス排出量を、2030年までに13年度比で26%削減するための中期的な対策が柱である。50年までに80%の削減を目指すという長期目標も掲げた。

 国を挙げて取り組む姿勢を打ち出してはいるが、対策は十分とはいえない。高い長期目標を達成する具体策も示しておらず、踏み込み不足だ。

 温暖化防止を目指す国際社会で、日本は先進的な位置を占めたい。政府は計画を着実に進めるため、実効性のある施策を作り上げなければならない。

 中期的な対策は、家庭や業務、エネルギーなど各部門で行う対策を列挙し、省エネ努力を求める内容だ。

 エネルギー部門は、国内最大の二酸化炭素排出源である火力発電の効率向上を図り、排出量を28%減らす。古くて効率の悪い発電所には廃炉や休止を促す。

 気掛かりなのは、石炭火力の新設を認めたことである。

 老朽施設と切り替えれば、現在より排出量を削減できよう。だが、将来的には新設された施設が足を引っ張る懸念がある。

 欧米では、規制強化を進める流れだ。逆行するような日本の方針は、燃料費が安い石炭火力を欲しがる電力大手に配慮したと受け取られても仕方なかろう。

 原発が対策の要の一つに位置付けられたのも問題だ。

 販売する電力量の44%以上を原発と再生可能エネルギーで賄うとしているが、これは原発の再稼働を前提としている。国民の多くは、温暖化対策だからといって、過酷事故の恐れがある再稼働に免罪符を与えまい。

 求めたいのは、温室効果ガスをほとんど出さない再生エネの推進である。発電コストや安定供給といった課題をクリアするには、国が強力に後押しする必要がある。

 産業部門の削減をわずか7%としたのも疑問である。業界ごとに自主計画を策定し、政府が検証することにしているが、他部門に比べて甘いのではないか。

 家庭や業務部門では約40%削減するとした。LEDへの切り替えや、家庭用燃料電池の普及をどれだけ進められるかが鍵となる。

 補助金や税優遇など負担感を軽減する施策を、効果的に講じることが大切だ。

 一方、80%削減の長期目標の実現は、これまでの取り組みの延長では難しい。画期的な新技術の開発や、国民の生活様式の大幅な見直しなどが欠かせない。化石燃料の消費を抑える炭素税の導入や、温暖化ガスの排出量取引制度などの仕組みも検討していくべきである。

 脱炭素社会の実現には、経済の発展と国民生活の向上の両立を図ることが重要だ。政府には、それらを見据えた戦略が求められる。