阿波路の春を彩るとくしまマラソンはきょう、号砲が鳴らされる。

 12回目となる今大会には過去最多の1万4589人がエントリーした。好記録を狙う常連から初心者まで、それぞれのペースでピッチを刻み、笑顔で完走してほしい。

 レースは徳島市の県庁西側の国道55号を出発し、吉野川北岸を西へ。阿波市で西条大橋を南岸に渡って東へ進み、徳島市陸上競技場でフィニッシュする。道中は、眼下に豊かな水をたたえる吉野川、遠くに眉山や阿讃の山並みを望むことができる。苦しいときに、徳島の自然の豊かさを感じて力に代えよう。

 競技性を高める一環として今回から、大会記録を更新した選手に賞金が贈られる。男子の大会記録は2時間15分25秒、女子は2時間37分0秒で、賞金額は更新したタイムに応じて30万~100万円の幅がある。日本記録を塗り替えると1億円である。

 日本記録はハードルが高いとしても、大会記録は破られる可能性がある。新記録を狙う上位の争いは、ハイレベルの展開になりそうだ。

 ゲストランナーや招待選手にも豪華な顔触れがそろう。

 ゲストで走る野口みずきさんは2004年アテネ五輪の金メダリスト。神野大地選手は青山学院大時代に箱根駅伝で活躍し、「3代目山の神」と呼ばれた。12年ロンドン五輪銅メダルのウイルソン・キプサング選手は前回大会も走り、トップでゴールした。プロランニングコーチで常連の金哲彦さんは、走りながら助言をくれるだろう。

 招待選手として大塚製薬陸上部の選手1人を含む、県関係の3選手が走る。龍谷大や東京六大学の若いランナーも健脚を披露する。

 市民ランナーは、トップクラスの選手の走りに大いに刺激を受けるはずだ。ただ、彼らのスピードにつられないよう注意しなければならない。スタート直後から自分のペースを守って走らなければ、完走もままならなくなる。

 道中、苦しくなれば徳島ならではの応援を励みにしよう。今大会は58の団体・企業が「応援隊」として沿道に並ぶ。半田そうめんやうどんなどの飲食を提供する人たちがいれば、阿波踊りや楽器演奏、体のケアでサポートするグループもある。

 全国に数ある大会の中で徳島の応援の充実ぶりは自慢の一つである。工夫を凝らした「お接待」がランナーを元気づけるだろう。

 08年に4045人が参加して始まったとくしまマラソンは、規模を大きくしながら進化してきた。

 市民ランナーは着実に増え、今ではグループや個人で練習する姿を県内のあちらこちらで見掛ける。目標タイムをクリアするため、1年を通じて練習するからこそ、完走したときに充実感や達成感を得られるのだろう。

 選手たちの懸命の走りに、沿道から声援を送ろう。