ニュージーランドの名は17世紀、ここにたどり着いた探検家タスマンの故国オランダの地名にちなむ。先住民のマオリは「アオテアロア」と呼んでいた。「白く長い雲」の意味だそうだ。島を長く貫く山岳地帯にかかる雲か

 波頭を越えてきた先祖が、初めてみた光景かもしれない。マオリはポリネシアからの移民である。早くは8世紀頃、13~14世紀には本格的に移り住んだ。飛べない大鳥モアの絶滅にも関わる

 クライストチャーチは、ニュージーランド南島の最大都市。人口は約38万人。街の名前は1850年、英オックスフォード大クライストチャーチ校出身者の主導で、入植が進んだことに由来する

 この国は米国と同じく、移民がつくり上げた国なのである。なのにどうしたことか。移民を「侵略者」と敵視する男が、クライストチャーチのイスラム教礼拝所2カ所で銃を乱射し、49人を殺害、多数にけがを負わせた

 主犯格の男はオーストラリア出身。白人至上主義を信奉していたようだ。この移住テロリストは、大量殺人が可能な銃を合法的に所持する許可を得ていた

 犯行前にはトランプ米大統領を絶賛する声明を出している。大統領にテロの責任を負わせるつもりは毛頭ないが、過激な排外主義的言動が、世界の隅々まで暴力を誘発しているのは、疑いようもない事実である。