人形の手を振ってエールを送る平成座の座員=徳島市の吉野川橋北詰め

 17日のとくしまマラソンでは、過去最多の58団体・企業が沿道に繰り出し、心づくしの「お接待」で力走を後押しした。「励まされた」「感動した」。レース中は冷たい雨に見舞われたものの、阿波路を駆け抜けたランナーからは、温かな声援に対する感謝の言葉が相次いだ。

 徳島市の吉野川橋北詰め(4・8キロ地点)では、同市の阿波人形浄瑠璃座「平成座」の座員ら15人が「傾城阿波の鳴門 順礼歌の段」に登場する「お弓」と「お鶴」の人形を操りながら応援。2体の手を大きく振ってエールを送ると、外国人走者らは興味深そうな様子で手を振り返していた。藤本宗子座長(59)は「国内外の人に徳島の伝統芸能を知ってもらう良い機会になった」と話した。

 阿波踊りの龍虎(りゅうこ)連と恋蝶(こちょう)連が乱舞を披露したのは、折り返し地点に近い阿波市吉野町の西条大橋北詰め(21・6キロ地点)。ぞめきのリズムに誘われ、思わず両手を頭上に掲げる走者も多かった。恋蝶連の瀬尾真弘連長(35)は「ランナーを勇気付けたい」と、懸命に鉦(かね)をたたいていた。

 石井町藍畑の六条大橋南詰め(29・2キロ地点)では、地元の高川原勇獅子保存会の8人が沿道に獅子頭を並べ、大太鼓と小太鼓の勇壮な音を響かせた。滋賀県近江八幡市の会社員新居真二さん(60)は「太鼓の音で元気が出た。厳しいコンディションだけど最後まで頑張ります」と表情を引き締めた。

 終盤の徳島市不動東町(38・1キロ地点)では徳島商業高校の応援部と阿波踊り部、徳島市立高のダンス部の部員ら計67人が声援を送りながら、走者とハイタッチ。あいにくの雨でずぶぬれになりながらも、華麗なチアダンスやヒップホップダンスを披露し、元気を届けた。徳島商業高応援部の木村美月部長(17)=2年=は「完走してほしいとの願いを込めて踊った。きつい地点だけど、力を出し切ってくれたらうれしい」。

 沿道では、半田そうめんやちくわといった徳島の特産品も振る舞われた。大阪市から初参加した自営業丸山めぐみさん(36)は「そば米汁がおいしかった。声援もすごくて心も体も温まった」と笑顔だった。