卒業式真っ盛り。春は服装で悩む季節だ。入学式、入社式、研修もある。周りを見渡して同じならいいなと思うか、思い切って個性を発揮するか。いっそ制服ならいいのに、と嘆く人もいるだろう

 かつて新人研修を担当していた時、「一番知りたいことは」と尋ねると、「どんな服を着て会社に来ればいいのか」だった。そんなことも自分で決められないのか、と怒るなかれ。社会人と服装は、実は良い研修テーマだ

 「君らはこれから記者になる。記者の服装は自由だ」と突き放す。翌日、一人の豪傑がジーンズにトレーナー姿で現れた。当方がとがめないので、次の日は何人かがまねをした

 春深まり、入社式用の黒いスーツも汗臭くなってくる。どんどん普段着派が多くなる。研修室は大学の教室のようになった。ついには、社の幹部がエレベーターで見掛け「今年の新人は一体どうなってるんだ」と怒り出す

 そこで討論。「記者の服装って、どうあるべきだろう」。取材相手を不快にさせない。個性は大事。できれば、好印象で取材がスムーズになればいいが、神経質にはなるな、と

 されど服装、こんな豪傑もいた。採用の最終面接に、Tシャツで現れた。聞けば、1次、2次も同じ格好でパスした。「服装を変えると、僕を通してくれた面接官に失礼だと思って」。さて合否は?