便利さだけではなく、弊害についても十分に論議しなければならない。

 文部科学省が、携帯電話やスマートフォンの小中学校への持ち込みを原則禁止した2009年の通知を見直す検討に入った。

 当時と比べ、所持率が高まっていることに加え、災害時や緊急時の連絡に役立つことを考慮しての判断だ。

 ただ、子どもたちの間で深刻さを増すスマホ依存を助長するのではないか、との懸念は拭えない。

 会員制交流サイト(SNS)を介したトラブルの増加を心配する声もある。スマホ禁止の緩和に向けては慎重を期す必要がある。

 文科省は09年の通知で、小中学校への携帯電話の持ち込みを原則禁止すべきだとし、高校でも禁止を含めた使用制限の措置を取るよう求めた。通知に法的拘束力はないが、校長らの判断で禁止しているケースが多いとみられる。

 今回の契機となったのは、全国に先駆け19年度から持ち込みを認めることを決めた大阪府教育庁の試みだ。

 これまで府は持ち込みを原則禁止としてきたが、昨年6月に最大震度6弱を記録した大阪府北部地震が登校時間帯に発生。保護者から「長時間、子どもと連絡が取れず困った」として柔軟な対応を求める声が相次いだ。

 広島県教委も昨年の西日本豪雨を受け、公立高校への持ち込みの可否を検討しており、各地に同様の動きが広がる可能性もある。

 小中学生のスマホの所有・利用率(17年度内閣府調査)は増加傾向にあり、小学生で3割、中学生で6割に達する。共働き世帯が多数となった今、親子の連絡手段として欠かせない状況であるのは否めない。

 教育現場でも、スマホやタブレット端末を使った学習方法が広まりつつあり、情報通信機器を積極的に利用しようという機運が高まっているのも事実だ。

 しかし、一方でスマホがもたらす弊害もまた増幅している。SNSは、いじめや性犯罪につながる危険性が指摘されているほか、最近はモラルを逸脱した動画投稿の拡散が、大きな社会問題となっている。

 オンラインゲームやインターネットの使い過ぎによる病的なネット依存が疑われる中高生は、昨年の厚生労働省の研究班による推計では約93万人に上っている。5年間でほぼ倍増し、実に7人に1人の割合という衝撃的な結果が出ている。

 家庭では、スマホをどう使いこなすのか、情報を見極める力を養う「リテラシー教育」に早急に取り組まなければならない。持ち込みが認められるなら、学校現場は厳格なルールづくりが必要になるだろう。

 教師や親、子ども、専門家らの声をじっくりと聴き、持ち込みの可否を判断してもらいたい。