国立研究開発法人・産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は、産業に役立つ技術を創出し、産学官の連携による実用化を目指している。

 研究分野はエネルギー・環境、地質調査、計量標準など幅広く、約2300人の常勤研究者を擁する日本最大規模の公的研究所だ。副理事長として組織の運営を担う。

 東京大大学院で超電導を研究し、計量研究所に入所した。「当時、計量研には、1メートルの正確な長さを決めるために、超電導素子を使って光の周波数を測るプロジェクトがあった」と振り返り「後に別の技術で測れるようになったので、私の技術は今は使われていない」と言う。

 2001年の中央省庁再編に伴い、工業技術院の15の研究所などを統合、再編し産業技術総合研究所が誕生した。 「その頃、研究室長として小さなグループ研究のマネジメントをしていた。産総研という大きな組織に再編する過程で、新しい理念を議論したことが印象に残る」と話す。

 組織再編と共に、バブル崩壊後の産業界の変化に遭遇した。「大企業は中央研究所を持って研究開発していたが、余裕がなくなって、採算に合わない所をどんどん切った。われわれも『いい研究をしていたら使ってもらえる』から『産業界で使ってもらえる技術までお手伝いしよう』に変わった」と意識変化を語る。

 「中国、韓国を見たら分かるように、日本の競争力を確保しようと思ったら、より進んだ技術でないと、じり貧になる」と危機感も訴える。

 徳島県には墓参りなどで年に2、3回、帰省する。

 「産業の発展は人を集め、つなぎとめる源泉だ。徳島県は世界有数のLEDの生産量を誇る。IT関連企業も増え、将来のヒントとなる産業もある。海外を含めたカスタマーに農産物、工業製品、サービスを届ければ、産業が活性化するのではないか」と期待している。

 みき・ゆきのぶ 城南高校から東京大教養学部卒。同大大学院理学系研究科博士課程単位取得満期退学。1982年4月、旧通産省工業技術院計量研究所入所。産業技術総合研究所理事などを経て2017年4月から現職。工学博士。茨城県つくば市在住。65歳。