第24回参院選がきょう公示される。

 前哨戦では、各党党首や候補予定者らの舌戦が繰り広げられてきた。

 自民党は安倍政権の経済政策「アベノミクス」の継続を前面に掲げ、野党は安全保障関連法の廃止などを訴えている。争点は多いが、問われるのは、安倍晋三首相による3年半の政権運営である。

 とりわけ注目されるのは、憲法改正の国会発議ができる3分の2以上の議席を、自民党など改憲勢力が獲得するかどうかだ。重大な岐路に立つ選挙であり、各党はそれぞれの主張を明確に示し、議論を深めてもらいたい。

 改憲勢力の消長に関心が寄せられるのは、安倍首相が憲法改正に強い意欲を示しているためだ。首相は年頭会見で改憲を参院選の争点に掲げる意向を明らかにし、先の通常国会で「在任中に成し遂げたい」と踏み込んだ。

 それなのに、国会閉幕後は自ら憲法には触れず、街頭演説でも封印している。先日行われたインターネット動画サイトの党首討論会では「選挙で争点とすることは、必ずしも必要がない」と述べた。衆参両院の憲法審査会で議論が集約されていない、というのが理由のようだ。

 ところが、きのうの日本記者クラブでの討論会では、争点化を避けているとの野党の批判を受けて、「争点にしないとは言っていない。自民党は結党以来、憲法改正を掲げてきた」と釈明した。

 ならば、なぜ改憲が必要なのか、それを自身の言葉で語るべきだ。選挙で是非を問うのが筋である。選挙戦での首相の対応を注視したい。

 今回の参院選は「安倍政権を倒す」として民進、共産、社民、生活の野党4党が、徳島・高知など全ての改選1人区で統一候補を立てたのも特徴の一つだ。

 これに対して、自民、公明の与党は「政権を倒した後、どうするのか」「選挙の時だけ協力するのは無責任だ」と批判を強めている。

 野党が共闘した背景には、集団的自衛権の行使を柱とする安全保障関連法の成立がある。安保法に反発する国民の声を受けて白紙撤回を目指すためには、野党の共倒れを防がなければならないとの判断からだ。

 参院選は、憲法違反の疑いが拭えない安保法が施行されて、初めての本格的な国政選挙でもある。

 共闘は、与党が言う単なる「野合」なのか。それとも、野党が主張する「政権の暴走を止めるための結束は当然」と捉えるべきなのか。

 判断材料は安保法やアベノミクスの是非だけではなく、社会保障の充実策、消費税増税の再延期、環太平洋連携協定(TPP)への対応、原発再稼働など、多岐にわたる。

 7月10日の投開票日に向けて、与野党には活発な政策論争を求めたい。