徳島県内で2015年に宿泊した人の数は全国で最低だった。観光庁がまとめた宿泊旅行統計調査の結果である。

 14年は、四国霊場開創1200年や徳島ヴォルティスのJ1昇格などがあり、全国45位と、4年連続最下位から脱した。それが、わずか1年で「定位置」に戻った形だ。

 観光・ビジネス客の誘致が特需頼みでは展望は開けない。徳島を訪れてくれるファンの拡大へ、官民挙げて知恵を絞る必要がある。

 観光庁によると、15年の県内での宿泊者は231万4910人で、前年に比べて19・3%も少なかった。減ったのは6県だけで、減少率は本県がワースト1位。訪日外国人旅行者の増加などで、全国平均が6・5%増えたのとは対照的だ。

 本県が特に力を入れるべきなのは、外国人を中心とした観光戦略である。

 政府は観光を成長戦略の柱と位置付け、20年までに訪日外国人観光客を4千万人、消費額を8兆円とする目標を掲げている。東京や京都などに集中しがちな訪問先を地方に分散させることで、全国的な底上げを図る狙いがある。

 15年に徳島県内で宿泊した外国人は前年比60・5%増の5万7680人となり、初めて5万人を超えた。着実に増えてはいるものの、全国の6637万人に占める割合は0・1%にも満たない。急速に増え続ける訪日外国人を県内に取り込めていないのは問題である。

 県は東京五輪・パラリンピックに向け、20年までに外国人宿泊数10万人を目指すとしている。現在多くを占める香港や中国、台湾などアジア圏に加え、幅広い国へPRしていくことが求められよう。

 県の枠を超えた広域で滞在型の観光モデルを打ち出すことも考えていく時である。JR四国の半井真司社長は、観光列車を乗り継いで宿泊しながら四国内を周遊する案を示した。観光列車の人気は国内外を問わず非常に高い。ぜひ実現してほしい。

 もとより、外国人が訪れやすい環境づくりも欠かせない。外国語を話せる人材の育成や多言語による案内表示、パンフレットの作成は他県に比べても十分とは言えない。もっと積極的に進めるべきだろう。

 宿泊面では、一般住宅に有料で観光客らを泊める「民泊」の活用も有効だ。国は4月から、客室の延べ床面積基準やフロント設置要件を緩和した。

 これを受け、県は民泊を県内でも広めるため、手続きや旅館業法の概要、支援制度などをまとめたハンドブックを作った。安全・安心を確保した上で、宿泊需要の拡大に応えていくべきである。

 人口減少社会を迎える中、観光客が地域にもたらす経済効果には大きい期待がかかる。潜在能力の高い徳島の資源を磨くとともに、積極的に発信することで観光立県につなげたい。