5選を目指す現職か、刷新、転換を訴える新人か。

 統一地方選の前半戦となる徳島県知事選がきょう告示され、来月7日の投開票に向けて戦いの火ぶたが切られる。

 立候補を表明しているのは、現職の飯泉嘉門氏と元自民党県連副幹事長で元県議の岸本泰治氏、共産党阿南地区副委員長で元小松島市議の天羽篤氏の3人である。

 政府が「地方創生」を掲げて5年になるものの、東京一極集中は強まるばかりだ。本県も人口減少に歯止めがかからず、少子高齢化や過疎化は深刻の度を増している。

 住みやすい地域を維持し、次の世代に手渡すには、住民自らの努力とともに、行政の知恵や実行力が欠かせない。

 今後4年間、県政のかじを取るトップは誰がふさわしいのか。私たち県民の選択は重い意味を持つ。候補者の主張や手腕、人柄を十分に見極めていきたい。

 本県の知事選は前回まで、3回連続で飯泉氏と共産党候補の一騎打ちとなってきた。3人が立つのは2003年以来、16年ぶりである。

 加えて、今回は保守が割れる事態になった。自民党県連が飯泉氏を推薦し、後藤田正純衆院議員が岸本氏支持に回ったからだ。県連幹部は、ごく一部の造反だとし「一枚岩」を強調しているが、影響は否定できまい。

 大きな争点となるのは多選の是非である。戦後、本県の知事は4期が最長で、5期務めた人はいない。

 一般に首長の多選は、権力が過度に集中し、行政の硬直化や腐敗を招きやすいとされる。異を唱える人がいなくなり、議会との緊張感も薄れ、独善的な傾向が強まるとの指摘もある。

 今の県政に、そうした弊害は出ていないのか。

 飯泉氏は、市長会をはじめ130を超える団体から出馬要請や推薦を受けている。県議会では旧民主党系会派の推薦も得た。いずれも4期16年の実績を高く評価した結果だろう。ただ、こぞって現職を担ぐ姿に違和感を覚える県民もいるのではないか。

 対する岸本氏は多選批判を前面に打ち出し、弊害として事業費が膨らみ続けた「とくしま記念オーケストラ」問題を挙げている。「5期20年は長すぎる」と訴え、共感を広げていく構えだ。

 飯泉県政と多選を批判するのは、天羽氏も同じである。中でも、記念オケ問題を一貫して追及しているのは共産党だとし、保守対決の間に埋没しないよう、他候補との違いを強調している。

 陣営の動きは熱を帯びてきたが、選挙ムードは高まっているとは言い難い。

 前回は残念ながら過去2番目に低い投票率だった。今回は、選挙権年齢が18歳以上になって初の知事選であり、統一選と参院選が12年に1度重なる「亥年選挙」のスタートにも当たる。一人一人が関心を持ち、有権者としての責任を果たすことが大切だ。