徳島県知事選が告示され、3人が立候補した。徳島の針路を左右する重要な選挙だ。有権者がしっかり判断できるよう、各候補者は丁寧かつ具体的に論じ合ってほしい。

 3氏は公約で独自色を打ち出している。

 元小松島市議で共産党新人の天羽篤氏は「現県政は、多くの問題が噴出している」として「国にモノを言う県政」「暮らし最優先の県政」「地域経済応援の県政」への転換を訴えている。

 徳島県知事として初となる5期目を目指す無所属現職の飯泉嘉門氏は「人口減少」「災害列島」を国難と位置付け、公約集に「チャレンジャーとして国難を打破する」と意気込みを記した。

 元県議の無所属新人、岸本泰治氏は「2期8年有言実行」など、今回の選挙で争点化している多選を意識した言葉を並べる。低迷する宿泊者数などを前提に「全国ワースト脱却」とうたう。

 人口問題は全国共通の課題として各地で取り組みが進むが、むしろ地方からの人口流出、東京一極集中は加速している。

 単に人口増減だけの問題ではない。全国で「地方創生」の名の下、子育て支援や産業振興など、幅広い施策が展開されているが、その恩恵が広く行き渡っている実感は地方には乏しい。

 難しい課題であることは間違いないが、今回の3氏の公約からは、現状を一変させる道筋が十分に見えてこない。

 少子高齢化・人口減少社会への対応、南海トラフ巨大地震への備えの強化、地域経済の活性化、地域医療再生、公共交通の維持―。徳島は今、多くの困難な課題に直面している。

 限られた財源をどう活用するのか。論戦を通じ、それぞれのビジョンを積極的に発信してもらいたい。

 今回の大きな争点は、飯泉氏の4期16年に及ぶ県政運営の評価と、多選の是非だ。こうした争点に対し、各立候補者は告示日の第一声で何を語ったか。

 新人2氏は現職批判を展開した。天羽氏が「とくしま記念オーケストラ」問題などを例に「今の県政は異常だ。友達や特定企業を優遇する県政を切り替える」、岸本氏が「16年で何も良くなっていない。誰にも物を言わせないような独善県政の先に、地方創生はあり得ない。5期20年は長すぎる」などと主張した。

 一方の飯泉氏は、五輪キャンプ誘致などの実績を掲げ、「原点に立ち返り、反省すべき点は反省し、チャレンジャーとして戦う」と応じた。

 県政の継続か刷新か。対立軸を明確にし、17日間の舌戦で議論を深めてほしい。

 徳島県知事選に3人以上が立つのは2003年以来16年ぶりのことだ。それぞれが徳島の未来像をどう語るのか。地方政治の活性化や、有権者の政治に対する意識向上につながるような多様な政策論争に期待したい。