日本チャイルドボディケア協会代表の蛯原英里さんが、子育てと仕事の両立について語るトークショーが徳島市のイオンシネマ徳島で開かれました。蛯原さんのトークを紹介します。

蛯原英里さんトークショー

-蛯原英里さんは、看護師として新生児集中治療室(NICU)に6年間勤務し、現在はベビーマッサージの仕事をしています。なぜ看護師に?

小学4年のとき、虫垂炎で入院しました。担当の看護師さんが優しくしてくれて、「こんな職業があるんだ」と感じたのが看護師の道に進んだ理由です。

-ベビーマッサージの道に進むきっかけは?

NICUには、妊娠23、24週ほどで生まれた、400~500グラムの小さな赤ちゃんや、お腹の中で障害が見つかった赤ちゃんがいました。ママは「早く産んでしまった自分のせい」と自分を責め、呼吸器や点滴につながれた我が子を見るのもつらいようでした。

赤ちゃんの状態が落ち着いていれば、優しく触るタッチケアや、裸の赤ちゃんを素肌に抱っこするカンガルーケアをご両親にしてもらいます。すると哺乳力がよくなり、状態も落ち着いて、ケアをしていない赤ちゃんと比べて早く退院できていると感じました。

ケアを通して赤ちゃんの生きる力を高めてくれるし、ママやパパも触れたり話しかけたりする回数が増え、一緒に頑張ろうと前向きな言葉が聞けるようになる。触れ合うことで家族の絆を深めることができるんだと伝えたくて、ベビーマッサージの講師になりました。看護師としてNICUに勤めなければ、今の職業には就いていないと思います。

ベビーマッサージを実演する蛯原さん=徳島市のイオンモール徳島(秋月悠撮影)

-ベビーマッサージについて教えてください。

ベビーマッサージの効果はたくさんあります。血流やリンパの流れが良くなって免疫力が高まります。便秘解消や夜泣きの軽減、脳の発達にもいいと言われています。また、大好きな人と触れたりアイコンタクトを取ったり声を聞くだけでも、オキシトシンというホルモンが分泌されます。愛情ホルモン、癒やしホルモンとも言われ、スキンシップでお互いに分泌されます。パパやママも、オキシトシンの効果で我が子をより愛おしいと思うようになります。

ベビーマッサージを楽しむポイントは、向かい合ってアイコンタクトを取ること。ママやパパの声が大好きなので、お話をいっぱいしながらやっていきましょうね。マタニティーの方もお腹の中の赤ちゃんにできますよ。お腹の中の赤ちゃんを思ってなでると、その振動が羊水を伝って赤ちゃんに伝わります。

まず、頭から足先まで全身を、手のひらや指先で優しくタッチしたら、頭をなでます。頭をなでることは情緒の安定につながます。アイコンタクトをとりながら「大好きだよ」と伝えて、にっこりしてください。

胸を優しく温めてあげましょう。胸を中央から左右に開くように、ハートを描くように優しくなでると、深呼吸ができるようになるので、副交感神経のスイッチが入ってリラックス効果が高くなります。

背中は、首からおしりに向かってなでます。背中を温めると寝付きがよくなります。おしりの割れ目のちょっと上にある仙骨辺りもリラックスにつながるポイント。仙骨を中心に円を描くように、優しくゆっくり同じリズムでさすりましょう。

-子育てと仕事の両立はいかがですか?

8月に3歳になる娘がいて、4月から保育園に通っています。両立は完璧にはできないですが、娘が起きている時間はできるだけしっかりと一緒にいるようにしています。保育園に通うようになると、起きている時間は6、7時間くらいしか一緒にいられない。できるだけ一緒に楽しむようにしていて、朝と夜は娘とのいちゃいちゃタイムを取っています。その分仕事と保育園にいる時間は、お互い楽しんで頑張ろうねという気持ちです。

-来場者からの質問です。「2、3歳のイヤイヤ期で、忙しい時間にぐずり出すと余裕がなくなって怒ってしまう。上手な気持ちの切り替え方を教えて」

イヤイヤ期は、脳の感情をコントロールする部分が未熟なので、感情がすぐ出ちゃう、制御できない時期。もう少し成長すると、パパママの顔色や空気を読んで感情を抑えるようになる。イヤイヤ期は本音で感情をぶつけてくれる、キラキラ期だと思っています。

つらい時期もあるけど、あれもこれもできないと数えるより、今朝はいつもよりぐずらなかったからキラキラ1、出掛けたとき信号に捕まらなかったからキラキラ1と、キラキラポイントを数えるようにしています。

-「言うことを理解してもらえないとき、分かってくれるまで根気よく付き合える時と付き合えない時がある。子どもにどこまで向き合ってますか?」

できないときは「こういう状況だからこれしてもいい?」と聞きます。きちんと話をすると、子どもは意外と分かってくれます。私は産後3カ月から一緒に出張もしていたので、スケジュールを前日から伝えるようにしています。言わなかった時期よりぐずらなくなりました。どうせ理解できないからって伝えなければ、娘も、何でそうなるのか、次にどうしたらいいか分からない。「こういう気持ちだし、こういうスケジュールだから」と伝えると、彼女も一緒に行動を起こしてくれやすくなりました。

-「子どもの何でもやってみたいという気持ちにどこまで応えていますか?」

時間があるときは、やりたいと言ってきたきたことは全部やります。時間がない時は、ない時間の中で娘が納得できるように「これだけ一緒にやる?」といくつか提案します。全部ダメと言うと納得してもらえないので、できる範囲の提案をいくつか出して本人に決めてもらっています。

-「子どもの食事で気をつけていることはありますか?」

生活リズムが狂わないように、できるだけ同じ時刻に食事を取るように心掛けています。あとは娘が自分で作ったものはよく食べてくれるので、料理をやりたいと言ってきたときにはできるだけ一緒にやるように心掛けていますね。

-仕事と子育ての両立は大変ではないですか?

大変なときもあるけど、ベビーマッサージやママのための講座は、接しているママの声から生まれたものなんです。要望を集めてレッスンにしていくので「気持ちが楽になった」と言ってくれたり、表情が明るくなったりすると、私もうれしい。忙しい大変さもあるけど、楽しさのほうが大きいです。

-両立で大切にしていることは?

仕事を充実させることと同時に家族との時間は大切にしていきたい。いちばんつらかったのは産後4カ月のとき、夜泣きで1時間おきに起きることがありました。主人は隣でぐーぐー寝てて、声もいびきもイライラして(笑)。そんなとき、今まで撮った動画や写真を見直して、この瞬間の娘にはもう出会えないんだと思ったら、泣いている娘との時間がかけがえのないもので大切にしないといけないと方向転換できた。今もいちゃいちゃタイムはすごく大切な時間です。

育児や仕事を楽しむ心構えについて語る蛯原さん=徳島市のイオンモール徳島(秋月悠撮影)

-育児中で仕事への復帰を迷っている人にアドバイスを。

私は、迷ったらやっちゃうタイプ。1度きりの人生だし、やればよかったと後悔したくないので、悩んでいるならやったほうがいいと思います。子育て中でもできることをいくつか選択肢を出して、その中でチョイスします。ずっと子どもと2人で家にいて、復帰できないともんもんとしているのって、子どもは敏感なので感じ取るし、それをひしひし受けながら生活するのは子どももつらい。頑張るママの背中を見ている子どもは「ママ大好き、かっこいい」と感じると思います。

-美しくキラキラと仕事をする秘訣は?

自分がつらいと、家族も察して負のスパイラルになるので、自分が信じる道を前に進むぞという気持ちでいます。つらいことがあっても、違う角度から物事を見て、いいところを見つけるようにします。「コンサートに行くために頑張るぞ」と楽しい予定を入れると、それまでの時間が充実します。

あとは、できるだけ育児を楽しむ! 今しかできないから、今を楽しむようにしています。大変なことやつらいことを数えるより、楽しいことを箇条書きにするだけでも気持ちは前向きになります。輝いているママのほうがお子さんはうれしいと思います。一緒に子育てを頑張っていきましょう。