無投票となる可能性が高い県議選三好第1選挙区のポスター掲示板=三好市内

 地方自治の要である地方議会が岐路に立たされている。議員のなり手不足が深刻化し、29日に告示される県議選は2015年の前回同様、過去最多の7選挙区で無投票となる公算が大きい。市町村議選も大半で低調な前哨戦となっている。有権者の政治離れも進んでおり、投票率の低下傾向に歯止めが掛からない。現場では何が起きているのか。県内の現状を探った。

 「無投票になって良かったな」。2月下旬、三好第1選挙区(定数2)のベテラン県議が県議会本会議の一般質問で事実上の引退宣言をして以降、立候補を予定している現職と新人の2人は、支援者からこう声を掛けられるようになった。

 引退県議を含む3人は前回、激しい選挙戦を展開。新人は雪辱を期して1年前から連日街頭でつじ立ちし、浸透を図ってきた。現職の危機感も強く、昨年12月から本格的にあいさつ回りを続けてきただけに、支援者の間に漂う楽観ムードに戸惑いを隠せない。

 ただ、現職、新人の陣営関係者は、無投票の可能性が高まり「ほっとしている」と打ち明ける。無投票となりそうな他の選挙区でも、多くの立候補予定者や陣営幹部が「選挙戦にならない方がありがたい」と話す。

 理由として多いのが精神的負担。どの陣営も「選挙に絶対はない」と強調するように、勝算が高くても選挙戦になれば神経をすり減らす日々が続く。支援者も同様で、複数の現職が「支援者に苦労を掛け、申し訳ない気持ちは強い」と胸の内を明かす。

 選挙費用も重くのしかかる。県議選の場合、無投票でも事務所開設やリーフレット作製などで最低400万円が必要とされる。選挙戦になれば、選挙ポスター作製や選挙運動用自動車の借り入れなどが公費で賄えるものの、事務所の維持費を中心にさらに数十万円以上の出費を強いられる。

 無投票が続く定数2以上の選挙区では、現職同士が表向き良好な関係を保ち、対立を避けている例もある。

 2回連続で無投票となる見通しの小松島・勝浦選挙区(定数3)の現職は自民系2人、非自民系1人で、支持層のすみ分けがある程度できているという。現職の1人は「協調できる部分は協力している。いがみ合って得することはない」と語る。結果として、新人に付け入る隙を与えない構図ができている。

 無投票が2回続いた阿波選挙区(定数2)で立候補を予定する新人の後援会幹部は力を込める。「現職同士のなれ合い体質を正すためにも選挙は必要。無投票を良しとする有権者の見識も問われている」。