今年の国内政治で注目されるのは、安倍晋三首相が目指す憲法改正を巡る動きだ。

 昨年7月の参院選で自民党などの改憲勢力が、衆参両院の発議に必要な各3分の2以上の議席を確保し、改憲は現実味を増している。

 休眠状態だった憲法審査会も昨秋の臨時国会で再開されたが、衆院で2回、参院で1回の開催にとどまった。

 改憲が党是の自民党と、安倍政権下での改憲に反対する野党第1党の民進党は、立場の隔たりが大きい。与党内でも、公明党は憲法に新たな理念を付け加える「加憲」を主張しており、温度差がある。

 通常国会で、自民党が描く改憲項目の絞り込みができるかどうかは疑問である。

 任期中の改憲を掲げる首相は、自民党の総裁任期を「連続2期6年まで」から「3期9年まで」に延長する方針が決まったことで、時間的ゆとりを得た格好だ。

 首相は野党の選挙準備をにらみながら、慎重に衆院解散の時期を探るとみられる。

 解散は首相にとってもろ刃の剣だ。与党が衆院で3分の2の議席を割り込めば、改憲項目の絞り込みを急ぐ理由が薄弱になり、改憲推進の空気がしぼみかねない。

 もとより、憲法改正は国の行方を左右する問題であり急ぐ必要はない。首相には謙虚で丁寧な政権運営を求める。 いくら首相の専権事項でも、重要課題が山積する状況をよそに、党利党略で衆院を解散してよいものだろうか。

 安全保障政策でも急を要する問題がある。南スーダンで、国連平和維持活動(PKO)に従事する陸上自衛隊に対し、憲法違反の疑いがある安全保障関連法に基づいて、「駆け付け警護」などの新任務が付与された。

 現地の情勢は依然、不安定で、PKO参加5原則のうち「紛争当事者間の停戦合意」は崩壊したとの指摘もある。

 それを示すのが、米国が国連安全保障理事会に提出した武器禁輸を柱とする対南スーダン制裁決議案である。

 決議案は日本などの棄権で否決された。政府は、制裁実施で南スーダン政府が国連への反発を強め、陸自の危険が高まるのを懸念したようだ。

 これまで政府は「南スーダンは紛争状態にないから、国や国に準ずる組織と敵対することはあり得ない」としてきたはずだ。陸自を守りたいのなら、早期撤収を決断するのが筋である。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題の対応も重要だ。辺野古沿岸部の埋め立て承認に関する国勝訴の最高裁判決を受け、政府は埋め立てに向けた工事を再開した。

 これに対し、翁長雄志(おながたけし)知事は、あらゆる権限を使って辺野古移設を阻止する構えだ。新型輸送機オスプレイの不時着事故で、米軍が地元の抗議を無視して飛行を再開したことにも反発を強めている。

 安倍首相の政治姿勢が今年も問われよう。